店の風紀は乱れない? 相次ぐ身だしなみルール緩和の背景 きっかけとなった大手の施策とはゾフ、ドンキ、ベルク……(4/5 ページ)

» 2023年11月27日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

 そもそも人手不足の昨今、身だしなみを取り巻く状況についての認識が甘い企業は、採用できなくなる時代となりつつあります。Z世代を対象にマイナビとシンクタンク組織・Z総研が実施した「はたらきかたラボ調査」では、職場での服装・髪型で「完全自由」を求める人は68.5%です。「服装規定のある会社は(職探しの)候補に入らない」という意見もあるようです。つまり、Z世代にとって、身だしなみ基準は会社との相性を見るモノサシになっているといえます。

 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)グループは、ドン・キホーテで身だしなみを緩和したことを機に、グループ内に次々と緩和の輪を広げています。そのうちユニーは、中高年の利用客も多いことから、身だしなみの緩和にさまざまな意見があったようです。そこで、導入にあたって「条件」を出したといいます。

 具体的には、自由な身だしなみを認める一方で「店で一番元気な挨拶と好印象な接客をすること」を条件にしたのです。 従業員が良い接客態度を示し続ければ、身だしなみは緩和しても問題ないということでしょう。結果的に従業員のモチベーションが上がり、顧客との関係も良好とのことです(参考記事:「派手な髪色もOK」で従業員にどんな変化が? ユニーが50年ぶりルール緩和で経験したこと)。

緩和を拡大してきたPPIH(出所:プレスリリース)

 同じく食品スーパーのベルクでは「従業員の身だしなみ多様化、始まる」として、店内にポスターを掲示しました。

話題を呼んだ、ベルクのポスター(出所:プレスリリース)

 そのポスターをX(旧Twitter)に投稿したところ、数万件を超える「いいね」がついたことが話題になっています。身だしなみ基準を緩和したことをポスターで告知しながら、同時に客からの疑問を解決する、とても上手なやり方だと思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.