最近、流通小売り・サービス業で従業員の身だしなみルールを緩和したり、撤廃したり、あるいは制服そのものをおしゃれにデザインしたりといった動きが活発になってきました。従来こうした業態では身だしなみに一定の基準を設けているところが多く、あまり自由が認められていませんでした。
それがなぜ今、見直され始めているのでしょうか。消費トレンドを追いかけ、小売り・サービス業のコンサルティングを30年以上にわたり続けているムガマエの経営コンサルタント、岩崎剛幸が分析していきます。
メガネブランド「Zoff(ゾフ)」を展開するインターメスティックが、店舗販売員のファッションやメイクなどのルールを2023年10月に緩和しました。
ゾフでは身だしなみ基準の緩和に先立って、23年5月に店員の仕事中のサングラス着用を自由化したことで話題も呼んでいます。メガネだけでなくサングラスも販売しているゾフにとって、接客にも役立つはずです。従業員自ら着用することで「サングラスを日常で気軽に使うライフスタイル」の提案にもなっています。
ゾフが新たに定めた基準を、日本経済新聞の記事を参考に図表としてまとめました。
髪色・ピアス・ネイル・カラコンにいたるまで、これまでは禁止だったものが条件付きでありながら、かなり緩和しました。一方で、全体の統一感を出す目的もあってか、アダストリアのブランド「オー・ゼロ・ユー」と組んで、サステナブル素材を使った制服も導入。ソックスは“ゾフカラー”であるブルーのものを作っています。
ゾフの店頭で新制服を見ましたが、おしゃれなドクターのようなイメージで「きちんとした店」という印象が伝わってきました。同社では「社会や暮らしに必要とされる次世代ブランドへ」という考えを持っています。この考えに基づいて社会環境問題への取り組み、社内の健康経営の推進、サングラスをファッションとして楽しむ環境づくりなどの取り組みを実施しています。今回の身だしなみ基準の緩和は、同社の考え方を世の中に発信するとともに、ブランドイメージを高める施策といえるでしょう。従業員のモチベーションアップや採用活動にも効果を発揮しそうです。
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