だが、安易にブランディング広告を止めてよいのだろうか?
ブランディング広告は、短期的な売り上げだけでなく、将来の売り上げにもつながる中長期的な効果を持つ。短距離走ではなく長距離走。5〜10年のスパンで、ブランドの認知向上や地位向上にどのような影響を与えたのかを可視化できれば、ブランディング広告を継続すべき理由も見えてくる。しかし多くの企業では、この中長期的な効果を把握できないために、ブランディング投資に対してシビアな判断が下されている。
KANTARの調査によると、ブランド蓄積効果(ブランド・エクイティ)が成長しているブランドはブランド価値を72%増加させたのに対し、ブランド蓄積効果が低下しているブランドは20%の増加にとどまるという。
また、ブランド構築を怠ると、過去に積み重ねてきたブランド構築の成果である「ベースセールス(広告の影響を受けない売り上げ)」が減少し、刈り取り系の短期的な広告投資への依存度が高くなることも分かっている。バランスの悪いマーケティング投資は、長期的にみると勝てない。
当社でも、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)を活用し、某通信企業のデータをもとに「ブランディング広告を止めると1年後どうなるのか?」というシミュレーションを実施した。
<シミュレーション手順>
結果は以下の図の通りだ。広告を止めた場合の11〜12月の売り上げは、例年通りブランディング広告を継続出稿した場合の8%にとどまった。つまり、ブランディング広告を停止した場合、1年後にはブランディング広告を継続出稿していれば得られるはずだった売り上げの92%を失ってしまうことになる(※)。
ブランディング広告を止めると1年後どうなるのか? シミュレーション結果は(画像:サイカ「もし、ブランディング広告を止めると1年後どうなるのか?〜広告の短期・中長期的な効果を可視化する〜」を基に筆者作成)
営業利益62% 時価総額2兆円超のモンスター企業「OBIC」のビジネスモデルを分析
時価総額1兆超え 伝説のIT企業「モノタロウ」のすごいビジネスモデルを解説
時価総額は2兆円 医療IT「エムスリー」の圧倒的なビジネスモデルに迫る
iPhoneの「りんごマーク」 なぜ、真ん中ではなく上に? 知られざる人間の心理
「細長いボトル」VS.「幅のあるボトル」 どちらが高級と感じる? 知られざる人間の心理Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング