とまあこんな感じで、サラダ自販機は苦戦に苦戦を強いられていたのだ。そんな日々を送っている中で、ひょんなきっかけで、京王井の頭線の渋谷駅に設置することに。ビルと違って、駅ナカなので自販機の前を通る人の数は多い。となれば、気になるのは反響である。
「人気のない芸人さんが『M-1グランプリ』に出場しても、予選を突破するのは難しいですよね。この事業もそんな状況が続いていましたが、駅ナカに設置したところ、“いきなり決勝に進出”といった感じでした」(新井さん)。例えが分かりやすい、分かりにくいといった話は別にして、売り上げの数字を見れば一目瞭然である。これまでの月商を、1日で突破するほどの勢いだったのだ。
自販機で販売している商品を大きく変えたわけではない。にもかかわらず、なぜ売れたのか。さまざまな要因がからみあっている中で、個人的にこの自販機に搭載されている、2つの機能が大きく影響しているのではないかと思っている。1つは「ダイナミックプライシング機能」(特許取得済み)だ。
ご存じのとおり、ダイナミックプライシングとは需要と供給に応じて価格を変動させる仕組みのことである。テーマパークの入場券やスポーツの観戦チケットのほかに、鉄道会社やコンビニなどでも導入されている。
この機能を自販機に搭載して、どうだったのかというと、いきなりうまくいったわけではない。導入当初はよく分からないことが多かったので、スタッフのカンで決めていたこともあった。「このサラダは、販売して〇時間がたったよね。じゃあ、〇%引きで」といった具合に進めていて、どんどんデータを取得していった。
例えば、20%引きだとこのくらい売れて、40%引きだともっと売れてといったことが分かってきた中で、70%引きを実施したことも。「このときはものすごく売れました。ただ、ものすごく赤字もでました(涙)」(新井さん)
お客の反応率を知るために、その後もさまざまなことを繰り返す。現状、サラダの場合、880〜1280円で販売している。で、ダイナミックプライシングを導入する前と後で、売り上げにどのような変化が出ているのか。販売個数は1.8倍、売り上げは1.5倍、いずれも増えているのだ。
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明大前駅に“さまざまな自販機”を設置して、どんな商品が売れたのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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