「社畜」という言葉があるように、日本企業を支えているのも「組織に忠実で真面目な人」だ。だから、旧日本軍と同様に員数主義にハマりやすい。そして、もうひとつ大事なポイントは「組織に忠実で真面目な人」ほどプレッシャーに弱いということだ。
組織に依存しない柔軟な人は追い込まれたら「こんな会社、あり得ない」と転職できる。しかし「組織に忠実で真面目な人」は今の会社で居場所がなくなったら、「もう生きていけない」と思いつめてしまう。住宅ローンや子どもの教育費が頭にチラつく。
だから、「自分がこの組織内で生き残るため」に不正に手を染める。ちょっとインチキをして帳尻を合わせれば、組織内での立場が守られる。そこには、エンドユーザーの不利益や、社会のルールを破っているという意識がスコーンと抜けてしまう。
「社畜」が多い日本では必然的に、この手の「自己保身型の不正」がどうしても多くなってしまうのだ。
「終身雇用」「年功序列」というシステムをベースにしてきた日本のものづくり企業は、「クビの不安なく技術をつきつめられた」というメリットがあった半面、「組織にしがみつくためには不正もやむ得ない」という組織病理も育んでしまった。
ダイハツの不正は氷山の一角に過ぎない。まだバレていないだけで、このような不正をしている企業はまだまだあるはずだ。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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