ご存じのように今の日本は人口減少によって、消費者と労働者が年々消えており、昭和に確立した「安くて高品質」というビジネスモデルや、それを支える生産方式がガラガラと音を立てて崩壊している。となれば当然、「安くて高品質」を実現するための不正も次々とバレていく――。
本連載では神戸製鋼のデータ改ざんが明らかになった6年前くらいからそのように繰り返し指摘をしてきた。
例えば2018年10月、『数の帳尻合わせが、日本のお家芸になってしまう根本的な原因』という記事の中で、筆者は「日本モノづくりのデータ改ざんはまだまだ続く可能性が高い」として、その理由を以下のように述べさせていただいた。
『ほとんどの企業でこのようなデータ改ざんは長年続けられてきた。基準が厳しいというのなら、誰か一人くらい文句を言ってもよさそうなものだが、監督官庁の員数合わせ的な基準に対して、モノづくり企業は黙って従い、現場も会社が掲げる数値目標に黙って従った。その「無理」のしわ寄せを検査担当者が「データ改ざん」でチャラにしたのである。
つまり、モノづくり企業でデータ改ざんが多発しているのは、制度うんぬん、人手不足うんぬんという理由もあるが根本的な原因は、監督官庁と民間企業の「員数主義」による無理や矛盾を完成品検査の担当者たちが「帳尻合わせ」をしてくれていたのが続々とバレ始めている、と見るべきなのだ。』
いかがだろう、今回のダイハツの不正も、第三者委員会の調査報告書では「過度にタイトで硬直的な開発スケジュール」に追い込まれた現場が、その「無理」をチャラにするために行ったと言われている。そういう意味では、昭和から脈々と続けてきた「日本企業の毎度お馴染みの不正」が、人口減少で疲弊した現場からの告発でバレてしまっただけの話だ。
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