MX-30 EV MODELは、そのスタイリングからは想像できないほど、スポーティーな乗り味だった。低重心なEVの特性を生かし、なおかつバッテリーモジュールを構造材として利用することで、シャーシの剛性を高め、素直ですっきりとしたハンドリングを実現していた。
それと比べるとロータリーEVの乗り味は普通である。ハンドリングは穏やかだし、乗り心地もマイルドだ。EVとしての滑らかな加速はそのままだが、130キロの重量増とバッテリーケースの小型化によるシャーシ剛性の低下が、乗り味をマイルドにしているのだ。
蓄電量が45%を切ったあたりからエンジンが始動し(状況によって上下するらしく、筆者の試乗時には40%まで減ってからエンジンが始動した)、充電しながらモーターへも電力を供給するのだが、その始動時も充電時もロータリーエンジンの存在感は極めて希薄だ。かすかにエンジン音が遠くから聞こえる程度であり、ステアリングやペダル、フロアへの振動を感じるようなことはなかった。
そしてチャージモードでは、加速するとエンジン回転も高まって、スポーティーなドライビングの気分を高ぶらせる。こうした工夫はマツダの得意とするところだ。
ただしチャージモードでの渋滞時はやや騒々しい。時速60キロ以下での走行は、他の部分の静粛性が高いこともあって、排気音が意外と響くのだ。しかもシングルローターによる中音域の周波数なので、音のつながりが粗く、高級感やスポーティーな印象を損なうのが惜しい。このあたりはサウンドチューニング次第で、今後改善されることを期待したいところだ。
実際の加速感はMX-30 EV MODELと全く変わらない。重量増に対応するために出力を高めながら、操作に対する反応などの動きには全く違和感がなかったのは見事なものだった。これによって、モーター技術もある程度手の内化できたらしい。
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