では、幸せに活躍している人々の学び方にはどのような特徴があるのだろうか。若手社会人の幸せな活躍に影響を与えている学び方について分析を行った結果、幸せな活躍には、「ソーシャル・ラーニング」「ラーニング・レジリエンス」「ラーニング・ブリッジング」「ラーニング・グリット」「ラーニング・デジタル」の5つの学び方が影響していることが分かった(図4)。
「ソーシャル・ラーニング」は人を巻き込んで学ぶこと、「ラーニング・レジリエンス」は困難な事からこそ学ぶこと、「ラーニング・ブリッジング」はいくつかの学びや経験を架橋すること、「ラーニング・グリット」は一貫してコツコツ学び続けること、「ラーニング・デジタル」はデジタルツールを積極的に使うことである。幸せに活躍している人々は、そうでない人々と比較してこれら5つの学び方をより実践している傾向がある。
中でも、幸せに活躍していることに最も影響しているのは、人を巻き込んで学ぶ「ソーシャル・ラーニング」という学び方である。ここでの「ソーシャル」は「人と人とのつながり」を指し、具体的には、何かを学ぶときに仲間と一緒に学んだり、詳しい人からアドバイスを受けたり、周りの人から積極的に意見をもらうといった学び方である。ソーシャル・ラーニングを実践している人々(平均以上)は、そうでない人々(平均未満)と比較して、幸せな活躍をしている割合が4.0倍高い(図5)。
若手社会人が幸せな活躍をするために重要な「ソーシャル・ラーニング」は、いわば学びのオペレーティングシステム(OS、全体を管理・制御するシステム)であるといえる。他者との関わりを意識し、人を巻き込みながら学ぶ方法が、幸せな活躍ができるかどうかを左右する基盤となるのである。
なお、若手社会人といってもいろいろな人がいる。今回の調査で、仕事やキャリアに関する志向性(はたらく志向性)についてタイプ分けしてみると、職場の人間関係を大切にする人、知識・経験を追求する人、目立たずに裏方としてサポートすることを好む人など、7つのタイプに分類できた。
はたらく志向性のタイプによって重要な学び方にも若干の違いがある。しかし、共通していえることは、人を巻き込んで学ぶ「ソーシャル・ラーニング」が幸せな活躍につながっているということだ。どのタイプの人であっても、人との関わりの中で学び、自らをアップデートすることが幸せな活躍の鍵なのである。
学びについて考えると、通常、資格取得のための勉強や一人で机に向かって黙々と学ぶイメージが浮かぶ。しかし、学び方には多くのアプローチが存在し、学びが勉強に限らないことを理解する必要がある。普段の仕事においても他者とのかかわりがあることから、学びの機会は絶えず存在している。日常の仕事に新しいアプローチを取り入れることで、幸せな活躍につながる学びが実践できるのである。
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