1つ目は「空走行」である。これは何も持たずに走行している状態だ。「手待ち」であるケースや、次に運搬すべきものを探しながら走り回る「パトロール走行」と呼ばれるケースがある。
2つ目は「繰り返し荷役」である。3種類の異なる製品をそれぞれ格納した容器が三段重ねされていたとする。その内真ん中(中段)の容器(A)を取り出す際に、その容器(A)と同時に上に重ねられた容器(B)をフォークリフトでいったん床に下ろし、上段容器(B)を元の位置に戻すといった荷役作業が必要になる。
3つ目は「渋滞による手待ち」である。工場・倉庫内通路上で他のフォークリフトが荷役作業を行っていると、当方のフォークリフトはその通路を走行できず、いったんその場で手待ちが発生する。これが渋滞による手待ちである。
上記3つはいずれもフォークリフト作業におけるムダにあたる。特に注目して見ていただきたい。その他にも稼働分析から見えてくるムダがあるはずだ。しっかりと観察していこう。
フォークリフトでの作業に伴って発生するムダも認識しておこう。例えばフォークリフトが生産ラインサイドで部品を入れ替える際、生産作業者が手待ちになることがある。生産ラインサイドに供給する部品をフォークリフトでしか出し入れできない場合には、フォークリフトが到着するまでの間、生産作業者が手待ちになることもある。
このように生産ラインへの供給設計の仕方で思わぬ生産ロスを発生させてしまうことがあるので注意が必要だ。フォークリフトにおける稼働分析結果の例を図1に示したので、参考にしていただきたい。類似した問題が皆さまの工場や倉庫にもあるかもしれない。
フォークリフトの稼働分析で見つかった問題点を一つ一つ改善していくことで、物流の生産性だけでなく、生産ラインの効率向上にもつながる。問題点と改善方策の事例を図2に示したので、こちらも参考にしていただきたい。
効率の面でもう一ついえること。それは通路の問題だ。フォークリフトが旋回するためには一定のスペースが必要となるため、通路幅が広がりやすい。無付加価値スペースである通路面積を拡大しないためには、できるだけフォークリフトを使う範囲を狭めたいものだ。
冒頭に記したように、フォークリフトは荷役機械である。扱いにあたっては安全上の配慮が欠かせない。安全上の観点から、フォークリフトを使える場所は工場や倉庫にものが入ってくるところ(入荷場)と出ていくところ(出荷場)、そして倉庫で重量ラックなど高所荷役が必要となる箇所のみに限定し、生産エリアや物流作業エリア内ではフォークリフトを使わない方向へと転換していくことも考えていこう。
【開催期間】2024年1月30日(火)〜2月25日(日)
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