社員が育児休業を取得する場合、人員としてはマイナスなので、性別関係なく当たり前に業務は滞ります。
ここで顧みたいのは、女性の育児休業の場合、休業前から体調不良などで業務が混乱しないよう、業務の仕組み化、標準化が行われたり、早い段階で引継ぎが開始されたりします。その結果、たとえ突発的な休みであっても仕事は回るので、私情を飲み込んだ「共助」の意識が醸成されます。
この「業務の仕組み化」から「共助意識の醸成」を性別問わず行っていく必要があります。仕組み化せず「男性だから長くは育児休業取らないはず」など根拠のない予想をもとに、力技で乗り切ろうとした結果、周囲から「育休を取られると仕事が増えて困る、育休社員の分も働いているんだから給料を上げて」といった不満が出ることは当たり前。フラグ回収されただけのことです。
仕組み化されていない属人的な企業体質は、脆弱です。
マニュアルを整備し、いつどこに何を連絡して、何にどれくらい時間がかかるのかが見えることで、業務は仕組み化、標準化します。そして、実は1枚にまとめられる報告、他部署で集約できている業務、意味がない指揮系統などのムダ工程が驚くほど出てくるのが、この作業の肝になります。
つまり、育休にかかわらず通常の引継ぎにかかる負荷やミスは大きく軽減されるうえ、誰もが平均的に活躍できる組織化につながっていくのです。
また、改めて思い直していただきたいのは、育児休業を取得し、子どもを育てることは会社に迷惑が掛かることではありません。
会社は組織として目標達成する場なので、社員の育児休業取得によって組織の目標断念という選択はしません。むしろ「男性育休は会社に迷惑がかる」という思考回路こそが会社の未来の先細りにつながります。
なぜなら、この男性育休からの共助意識の醸成が、いずれ自分が上司になり、多くの育児休業者や休職者をマネジメントしていく立場になった際に大きなアドバンテージになるためです。性別役割分担意識にとらわれることなく、本当に1人でも多く男性が育児休業を取得し事例を積み上げ、共通認識を刷新することこそが組織の質を上げていくことにつながるでしょう。
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