晴海フラッグは24年1月に入居が開始となったばかり。東京BRTは「選手村ルート」開業に合わせて運転手15人を増員。24年度中にはFCバス(水素燃料バス)5台の購入を予定しているという。
しかし、乗客数がどう推移するかは晴海フラッグの人口増加しだい。この街の人口が計画通りに1.2万人を越えると、いま「勝どきBRT」上りで発生しているような、激しい朝ラッシュが発生する恐れもある。現状1台しかない連接バスを増備すれば混雑は和らぐが、すでに2台発注している連接バスの納車のめどが立っていないという。
実は、同社が使用する「いすゞ・エルガデュオ」はジェイ・バス(石川県小松市)宇都宮工場で製造しており、合弁先である日野自動車からエンジン供給を受けていた関係で、22年に出荷停止に。そのあとも全国的に品薄状態が続いており、「いつ入荷するのか分からない」のは、ある意味納得だ。
また、東京BRTはいま、京成バス・東雲営業所や潮見営業所などから車両を送り込んでおり、求人広告によると「江戸川区臨海町へ移転予定」と出ている。東京BRTの担当者いわく「車庫が遠いと回送距離が長く、柔軟な運行に支障を来す」という。
もともと車庫の整備は東京都の仕事であり、営業エリアに近い晴海地区への用地確保に130億円(20年度)の予算がついていたものの、コロナ禍で予算が執行されていない。確かに回送距離としてはかなり長く、将来的に営業エリア内での車庫機能の整備を考えなくてはいけないだろう。
東京BRTにとって、設備・車両の問題以上に深刻なのは赤字問題だ。東京BRT株式会社の22年3月期決算は1億265万円の損失を出しており、その額は前年度より倍増している。現状のところ、そもそも経営が成立していない。
損失が続いたのは、「長らくプレ運行が続いた」ところに理由がある。もともと沿線はオリンピック閉幕後に再開発が進む予定が、開催の延期によって晴海フラッグも入居開始を延期。ほか集客施設の整備・イベントなどがことごとく延期・中止になった。かつ、22年の早期に予定されていた「プレ2次運行」も、入札の不調で大幅に遅れた。
事業計画にあった「ラッシュ時1時間2000人、将来的には5000人」という計画には届いておらず、収益もとれていない。こればかりは東京BRT株式会社・京成バスが巻き添えにあったとしか言いようがなく、現場で運転を担う方々にしわ寄せがいかないよう、何らかの形でフォローしてほしいものだ。
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