東京BRTは巨大タワマン街「晴海フラッグ」の足になれるか 立ちはだかる4つの課題宮武和多哉の「乗りもの」から読み解く(2/5 ページ)

» 2024年02月05日 10時00分 公開
[宮武和多哉ITmedia]

既に通勤客で混雑

 すでに開業している区間に乗車し、現状を探ってみた。

 1月現在、すでに開業しているのは「幹線ルート」(東京テレポート〜新橋駅前・1時間に4本)、「晴海・豊洲ルート」(豊洲市場前〜新橋駅前〜虎の門ヒルズ・1時間に2本)、平日の早朝のみの「勝どきルート」の3路線だ。その中で「勝どきルート」にあたる、勝どきBRT〜新橋駅前間は、朝方にはなかなかの賑わいを見せている。

東京BRT

 東京BRTは70人以上が乗車できる燃料電池バス「SORA」(トヨタ製)が主力を担う。また、100人以上が乗車できる連接バス「エルガデュオ」も、1台のみではあるが導入されている。

 「勝どきBRT」バス停から新橋方面は、平日朝7時台で6本、8時台で8本が運行され、ここから新橋駅までは無停車で4分ほど。

 しかし、「勝どきBRT」バス停は、平日朝8時台前半には乗客であふれ、何とかさばききれている状態のように見える。乗車位置から後ろ側には数十人の乗車待ちができており、午前8時21分発・新橋駅前行きの連接バス到着とともに、ようやく行列がなくなるような状態だ。

東京BRT 燃料電池バス「SORA」(公式Webサイトより)

 「勝どきBRT」バス停の近辺(中央区勝どき5丁目・6丁目)は晴海フラッグに負けず劣らず、高層マンションが密集している。交差点を挟んだ向かい側にはそびえたつ「THE TOKYO TOWERS」は、地上58階総、総戸数2794戸。ほか、新橋方面の「勝どきBRT」バス停の背後には「勝どきザ・タワー」(1434戸)、「クレストシティレジデンス」(495戸)などの高層マンションがぎっしりと立ち並んでいる。

 ただ、周辺地域は地名としては「勝どき」でも、都営大江戸線・勝どき駅までは500〜800メートルほどの距離があり、BRTを選ぶ人も増えているという。また、勝どき駅は大江戸線の中でも際立って混雑が激しく(1日7.5万人が利用)「勝どきBRT」と駅の中間地点にある勝どき3丁目・4丁目からも、BRTの利用者がそこそこにいるようだ。実際に朝に観察していても、3丁目・4丁目と5丁目・6丁目を隔てる小さな橋を渡って、BRTの停留所に向かう人を見かける。

 このエリアには都営バス(都04系統・豊海水産ふ頭〜東京駅丸の内南口)などが乗り入れているとはいえ、東京BRTはすでに「都内有数の高層マンション群」からの通勤輸送を、20年の開業からずっと担っているのだ。晴海フラッグへの「選手村ルート」開業でも、「タワマン街のバス」としてのノウハウは生かされるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.