リブランディングに取り組むに当たり、重視したことがあるという。その1つ目が「既存メンバーからの共感性」だ。「創業時の経営陣はやがていなくなる。会社を長期的に存続させていくには自社文化を残さなければならない。残すには愛着を持ってもらう必要がある。会社の文化が、今働いている人のものになっていないといけない」(松崎氏)との考えだ。
離職の多さや、新卒採用の難易度の高さにも従来、課題感があった。いずれも離職率や採用充足率といった数値で見れば一般的な範囲内ではあるものの、人材不足が今後加速していくことを思えば、不安は尽きない。対応策の一つとして、社員からも愛着を持たれるブランドであるべきと考えた。
プロジェクトはボトムアップでの取り組みを目指し「ワークショップを何回も行い、従業員から出てきたメッセージをまとめて結実させた」(松崎氏)。結果的に、会社のミッション・ビジョンは比較的すっきりし、分かりやすいものになった。
「これまで何を目指したいのかをふわっとしたものでしか表現できていなかったが、メンバーから出てきた思いを込めて言語化された。自然とみんなの心が乗るような、共感を生みやすいブランドメッセージになったのではないか」(松崎氏)
言語化を通じ、会社として目指すものや立ち位置、価値観について社会に広く訴えることにもつながった。こちらもリブランディングに当たって実現したかったことだという。こうした訴えを届けたかったのは、顧客に限らず、今後いい生活への入社を考え得る学生やビジネスパーソンなどもその対象だ。
実際にリブランディング前後で、新卒採用の状況は好転している。24卒学生の新卒採用のエントリーシート提出数は前年比で28.7%増加。入社承諾者数はビジネス・CS職は5人から11人へと120%増、エンジニア・デザイナー職は4人から12人へと200%増を記録した。
採用の計画数は増やしておらず、またビジネス・CS職については採用手法の変更もない中での承諾率上昇だった。エンジニア採用では、リブランディングをへて開始したオウンドメディア(note)の記事を読んだ上で選考に臨むケースが増えたため、承諾率向上に寄与しているのではという実感があるという。また新たなエージェント活用も応募数の増加に寄与した。
「ブランドメッセージが社会全体、就活中の学生たちにも届いた結果だと考えている。リブランディングは、新卒採用にも効果があった」(松崎氏)
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