うちの会社のロゴって正直、ダサいんだよなあ。
突然だが、そんなふうに感じたことはないだろうか。取引先に渡す名刺、パンフレット、発表時に投影するスライド……ビジネスパーソンが日々働く中で、勤務先のロゴを目にする機会は少なくない。そんなロゴを「正直、ダサい」と思っていたら、どうだろうか。いくら会社やサービスなどに愛着があっても、胸を張ってプレゼンしづらくなってしまうかもしれない。
「いやいや、ロゴくらいで」と思うかもしれないが、あるSaaS企業では“古臭いロゴ”の変更とリブランディングを合わせて進めた結果、思いがけない結果につながったという。
不動産市場特化型SaaSを展開する「いい生活」社でデザイナーとして働く佐藤純氏は、入社した当初から同社のロゴを「これは使いづらい」と感じていたという。クラシックな雰囲気の明朝体を用いたロゴは、スマホの小さな画面に表示すると、文字が潰れてしまう。「ソリッド感のあるデザインに変えたい」と思いつつも、入社したてで口を出せずにいた。
同社の設立は2000年1月。創業当時のロゴは、20年以上の時を経て「使いづらい」と感じるものになったと松崎明氏(専務取締役 CTO)は話す。「メディア露出の際、他社のロゴと並んで表示されると文字が潰れ、視認性が悪いと感じるようになった。また、他社のロゴと“トンマナ”が合わないように感じていた」(松崎氏)
佐藤氏の入社から3年が経過した21年の冬、契機が訪れた。それまでは、全ての不動産業務を賄える“オールインワン”SaaSを提供していたのだが、小さなパッケージから始められるよう、サービスを細分化。複数のプロダクトを提供することになったのだ。
ここで気になるのがロゴデザインだ。プロダクト全体をブランドとして統一感を持たせたいが、これまでのロゴではそれは難しい。いい生活らしさを出しつつ、要素を削ったロゴが求められた。
と同時に、プロダクトを細分化するのだから、コーポレートからリブランディングしようという話が持ち上がった。経営会議では「社名を変えてもいいんじゃない?」という話すら出てきた。
実は経営陣は、社員がロゴだけでなく社名に対し不満を持っているのではないかとも懸念していたという。「子どもがわけの分からない名前の会社に入ってしまった、と親御さんが嘆いていないか不安だった」(松崎氏)
ロゴを変える話から、コーポレートのリブランディングや社名変更までと「予想以上に大掛かりになった」と松崎氏は振り返る。社内だけで全てを行うのは難しいだろうという判断で、ブランド体験デザインや組織デザインなどを手掛けるグッドパッチからのサポートを受ける形でリブランディングプロジェクトが発足したのだ。
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