水洗いのみで汚れが落ちる食器 どうやって開発したのかあの会社のこの商品(2/7 ページ)

» 2024年02月15日 08時45分 公開
[大澤裕司ITmedia]

洗われるものに工夫をして節水を実現

 09年に節水と洗浄力を両立した超節水ノズル「Bubble90」(バブル90)を開発し、翌年、DG TAKANOを創業。飲食店や病院、公共施設などに普及していった。

 「元々うちは、世界的な社会課題である水不足の問題解決をテーマにしていて、最初に節水ノズルをつくりました」

 こう話すのは、社長の高野雅彰氏。食器をつくることにしたのは、蛇口だと水不足の問題を解決するには制約が多いからだった。

09年に開発された超節水ノズル「Bubble90」。世界で初めて無電力で「脈動流」 生成を可能にし(国際特許取得)、節水と洗浄力の両立を可能にした。最大節水率は95%

 その制約とは、家庭向けの蛇口は種類が豊富すぎること。「Bubble90」はレストランの厨房など施設向けに開発したが、施設の蛇口は2種類程度しかない。しかし、家庭用の蛇口は種類が豊富で、ほとんどで「Bubble90」を取り付けることができない。

 高野氏は蛇口ではなく、洗われるものに工夫を施して節水を実現することにした。汚れを簡単に落とすことができれば洗浄時間が短くなるので節水ができるというわけだ。

 ただ、食器づくりの経験はない。開発にあたっては必要な技術を探してくることから始めた。

 そもそもDG TAKANOはメーカーではなくデザイン会社、それもコンセプトのデザインから手がける。一般的なメーカーのように自前の技術でできることを発想するのではなく、まず実現したいことを明確にし、それを可能にする商品のコンセプトを立案してから必要な技術を探してくる。節水ノズルの技術も、高野氏の父親が経営する金属加工会社の技術を活用している。

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