研究開発に要した期間は5年。まず、食器の表面に特殊な塗装を施してみることにした。あるパートナー企業と共同で研究開発を進めたが、うまくいかなかった。
「誰もチャレンジしたことがないものをつくろうとしたので、ドンピシャな技術はありません。やってみないと分かりませんでした」と高野氏。可能性のありそうな技術を持っている企業に話を持ちかけ、共同での研究開発を打診するも、売れるかどうか分からない商品の開発に乗ってくる会社は多くなかった。ようやく協力してくれるところが見つかり共同で研究開発してくれることになっても、途中で実現困難と判断され諦められてしまうこともあった。
同社は新たなパートナー企業の協力を得て、再び塗装をベースに実現を試みることにした。
実はこのパートナー企業と共同で研究開発を進めたとき、汚れ落ちの良さと節水の両立を実現した。ただ、コストがかかる上に製造の際に人体や環境に良くない影響を及ぼすことから、高野氏は採用しなかった。
「目に入ったら失明してしまう劇薬を使うものでした。その劇薬はそもそも食器に使うようなものではなく、廃液を捨てることもできません。効果も数回使ったらなくなるものでした」
塗装とは異なる方法で実現を目指すことにした同社は、別のパートナー企業と共同で研究開発を進めることにした。
このパートナー企業と取り組んだのが表面改質。最新のナノテクノロジーを活用し、汚れとの間に水が入り込むようにした。これにより、食器に水を流すと汚れが浮かび上がって、落ちにくい油も水で流し落とせるようになった。目指した汚れ落ちが実現するまで、少なくとも2年程度はかかったという。
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