マーケティング・シンカ論

タイパ重視じゃないの? “音楽を持ち歩く”キーホルダーがZ世代にウケた理由3分インタビュー(1/2 ページ)

» 2024年02月19日 08時00分 公開
[大久保崇ITmedia]

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【お詫びと訂正:2024年2月19日午後1時 一部表現に誤りがございましたので、タイトル、文章の加筆修正を行いました。お詫びして訂正いたします。】

 音楽を持ち歩ける(?)キーホルダーがZ世代をはじめとする若者を中心に注目されている。

 SIDOMODO(横浜市)が手掛けるミュージックキーホルダー「The Music」(1500円)は、スマートフォンをかざすだけで、自分のお気に入りの曲やプレイリストなどの楽曲再生ができるキーホルダーだ。

 レトロで懐かしさを感じるレコード盤やカセットテープのデザインが特徴で、さまざまなカラーバリエーションを展開。各種メーカー、アニメなどのコラボ商品も制作している。

 2023年1月に販売を開始してわずか2日間で約5000個を売り上げた。

Z世代 事前に専用アプリに音楽配信サービスなどのURLを登録しておくことでいつでも呼び出せる(提供:SIDOMODO)

 昨今はサブスクリプションサービスが一般化しており、わざわざキーホルダーを持ち歩く体験をしなくても音楽を楽しむことができる。タイパを重視すると見られている若い世代がなぜ、ミュージックキーホルダーを支持するのか。同商品のヒットの理由を知るため、SHIDOMODO代表の蛭田俊輔さんと山本歩さんに話を聞いた。

タイパ重視の「Z世代」にヒットしたワケ

――The Musicを開発した経緯・狙いについて教えてください。

 コロナの影響で人と会えない期間は、全てがデジタルの中に収まっているような閉塞感がありました。もっと自由に自己表現がしたい、好きなものをデジタルではなく自分の手で持ちたいという感覚が強まったことが開発のきっかけです。

 私たち2人は音楽が好きで、ミュージックキーホルダーのような商品が実際にアーティストのグッズとして並んでいたら面白いよね、という話から「音楽を持ち歩く」体験にフォーカスしました。

 商品の形はレトロブームから着想を得て、レコードやカセットテープをモチーフにしています。

Z世代 レコード盤デザインのミュージックキーホルダー(提供:SIDOMODO)

――Z世代はタイパやコスパを重視する傾向があると言われていますが、「かざして聴く」体験にフォーカスしたのはなぜでしょうか。

 私たち自身もZ世代にあたるのですが、デジタルな世界はとても便利で効率的だと思う一方で、過ぎ去るのも早くてなかなか記憶に残らないと感じています。

 例えば旅行に行った際、写真を撮影してLINEグループで共有するという行動も、流れ作業になっている感覚があります。仮にそれがインスタントカメラであれば、撮影から現像までの手間はかかるけれど、一連の行動が1つのストーリーとして思い出に残りますよね。

 The Musicは、音楽を聴くという行動にあえてひと手間加えることで、記憶と楽曲を連携させるようなアイテムとして訴求しています。

Z世代 NFC(Near Field Communication)の技術を活用(提供:SIDOMODO)
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