宇都宮のライトライン、東側の成功と西側延伸が必要な理由杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/7 ページ)

» 2024年02月24日 05時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

沿線の経済効果も予想以上

 宇都宮駅東口から数えて6つ目の停留場「宇都宮大学陽東キャンパス」は、「ベルモール前」という副駅名が付いている。ベルモールは大型ショッピングモールで、付近にはシネマコンプレックスや温泉施設もある。ここもライトラインの日中や休日需要の源だ。つまり、ライトライン沿線の人々の移動生活のすべてにライトラインが対応している。

 渋滞緩和は成果が現れた。宇都宮駅とゆいの杜を結ぶ「鬼怒通り」の昼間12時間の自動車類交通量は、15年10月の観測で上下2万3534台だった。それがライトライン開業直後の23年9月には1万5604台まで下がった。減少率は3割以上だ。私が24年1月の平日に朝夕ラッシュ時のライトラインに乗車して観察したところ、渋滞は見つけられなかった。

 沿線のビジネスホテルは、今まで駅や工業団地へ走らせていた送迎バスを取りやめた。これは大きなコスト削減になったはずだ。沿線の商店なども客が増えているとのこと。マンションや住宅販売も好調とのことで、経済効果も大きいようだ。

 ライトラインでは「餃子付き1日乗車券」を販売している。餃子販売店舗で使える300円分のクーポン付きだ。私が訪れたときは対応する飲食店が1つだけで、しかも西口大通りの店だった。ライトラインに乗って行ける店ではないのか、と腑(ふ)に落ちなかったけれども、2月1日からライトライン沿線の7店舗が追加された。

 まとめると、ライトラインの建設はおおむね宇都宮市の目論見通り。新規建設路線は開業後に目標に達しない方が多いけれども、ライトラインは目標を上回るから大したものだ。むしろ休日の需要増は思いがけなかったようだ。鉄道ファンのみならず、ライトラインに乗る観光客が多かった。「餃子を食べてライトライン」が合い言葉かもしれない。

「宇都宮大学陽東キャンパス停留場」はベルモールの最寄り駅(筆者撮影)

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