東京地下鉄(東京メトロ)が、2024年度中に上場する方針だと話題になっている。東京メトロはもともと営団地下鉄であり、04年4月に民営化された。その経緯から、株主は政府と東京都のみとなっている。
一部報道によると、両者で100%保有する株式の半分を売却するという。これにより、一般投資家も東京メトロの株式を購入できることになる。
政府は東京メトロの株式を売却して得たお金を、東日本大震災の復興財源にあてるという。東京都はもともと上場に慎重派だったせいか、使い道をまだ決めていないようだ。上場のタイミングは、株式市場の状況を踏まえて決定する予定としている。
東京メトロ丸ノ内線2000系車両(出典:プレスリリース)
東京メトロは現在も「大手私鉄」ではあるが、上場すればさらに、社会からは東急電鉄などの私鉄と同じような扱いを受けることになる。
現在の東京メトロは、都心部を走行する鉄道会社だ。一方JR東日本や他の大手私鉄は、鉄道事業を中心としつつも、不動産やホテル、小売などさまざまな事業を行っており、各地域に根差した一大総合企業となっている。ただし証券市場などの分類では、陸運業、あるいはその中でも鉄道業として扱われている。
東京メトロは、他の大手鉄道ほど、不動産や広告事業で稼いでいない。鉄道事業を中心としつつも、非鉄道事業にも力を入れ、企業価値を向上させる必要がある。そうすることで将来の新株発行の際には高値で株が売れるようになり、より多くの資金が同社に集まる。
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