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東北大が「国際化」に注力する理由 大野総長「人材の多様性なくして日本の未来なし」:東北大学の挑戦(3/4 ページ)

» 2024年02月28日 08時00分 公開
[今野大一,ITmedia]

半導体業界のハブに

――スピントロニクス半導体研究の第一人者として、半導体業界をどう見ていますか。

 半導体は「21世紀の石油」「産業の米」とも言われていて、どんな活動をするのにも必要な技術です。ただ5、6年前までは「なぜ半導体の研究開発をしているのか。日本で研究成果を受け取る企業はあるのか。部品なんだから安いところから買ってくればいいのでは」とも良く言われました。

 現在では地政学的な変化もあり、半導体を一定程度の水準は、国内にも確保しなければならないとの認識が定着しました。世界のサプライチェーンは地政学的環境や戦争などいろいろなものに影響されます。その中で、自力で生きていくためには何が必要なのか。それを考え、実行していかなければなりません。半導体はその「一丁目一番地」です。

 日本は今まで、半導体の市場が落ち込んだとき「企業が何とかすべき」という姿勢でした。結果、苦しくなったときに、日本企業は市場から振り落とされました。半導体が必要不可欠な技術である以上、市場が低迷したとしても国の意志により支援を続けなければいけない場合もあるのではないでしょうか。実際、各国で半導体に対する支援が行われてきたのはご存じの通りです。

 NANDフラッシュメモリやDRAMなどのメモリ市場は苦しい状況ですが、国を挙げて半導体の重要性を掲げている今、日本における半導体のエコシステムが消滅することはあってはならないと思います。もちろん市場というのは常に大事ですが、市場が傷んだとしても続けなければいけない場面もあると私は考えています。

――今後、東北大はどんな役割を果たしていきますか?

 東北大は「半導体業界で世界のハブになる」というビジョンを持って産学連携に取り組んでいます。東北には、岩手県北上市のキオクシアや岩手県奥州市の東京エレクトロン、山形県鶴岡市のソニー、宮城県のPSMCなど半導体関連企業の拠点があります。本学と共同研究をしている企業も多数あります。

 Rapidusの東哲郎会長や、小池淳義社長とも定期的にコミュニケーションを取っていますし、マイクロンやTSMCとの定常的なコンタクトもあります。材料、装置開発、設計、新技術導入と本学の半導体に関わる研究開発は盛んです。米国でトランジスタが発明された2年後から半導体研究に取り組んだ伝統もあり、半導体産業の業界標準である「300mmシリコンウェーハ」を取り扱って、省エネルギー集積回路を動作させる研究開発を展開しているのは日本では本学だけです。半導体では世界を相手にしないと価値は出せません。

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