政府が創設した10兆円規模の「大学ファンド」初の支援対象候補に、東北大学が選ばれた。
東京大学や京都大学をおさえて、ファンドの支援対象である「国際卓越研究大学」(卓越大)の認定候補に選ばれたのだ。2023年度の選考で、唯一の認定候補となっている。
卓越大とは、国際的に卓越した研究の展開および経済社会に変化をもたらす研究成果の活用が見込まれる大学を文部科学省が認定し、当該大学が作成した「国際卓越研究大学研究等体制強化計画」に、大学ファンドによる助成を実施する仕組みだ。
政府による10兆円規模の「大学ファンド」の運用益から、年間数百億円の助成を最長で25年間受けることによって、世界トップレベルの研究力を目指す。卓越大の有識者会議(アドバイザリーボード)による報告書では、卓越大は「社会との対話の中で、国内外の多くのステークホルダーに対する共感を得て、大学の有形・無形の知的資産を価値化することが求められる」としており、東北大を「改革の理念が組織に浸透している」と評価した。
候補に選ばれた決め手は何だったのか。産業界のゲームチェンジ技術ともいわれる「超省電力」のスピントロニクス半導体研究の第一人者である東北大の大野英男総長に聞いた。総長インタビューを連日で3回にわたって掲載する。
大野英男(おおの・ひでお)1954年生まれ。1982年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。専門は半導体物理・半導体工学、スピントロニクス。東北大学教授、東北大学電気通信研究所長などを経て2018年4月から第22代東北大学総長。東京都出身(クレジットのない写真、資料は東北大学提供)――卓越大の認定候補に東北大が選ばれました。申請の際にアドバイザリーボードには、どんな計画を提出したのですか。
未来を変革する社会価値の創造(Impact、インパクト)、多彩な才能を開花させ未来を拓(ひら)く(Talent、タレント)、変革と挑戦を加速するガバナンス(Change、チェンジ)という3つのコミットメントを取り上げました。全方位の国際化など6つの目標を達成するために19の戦略を提示しています。
徹底した国際化は極めて重要です。世界は刻々と変化していますから、現代的な課題に対応するためには大学も変わっていかなければなりません。加えて卓越大は日本と世界をつなぐ役割を果たすためにグローバルでなければなりません。現在は学部生の2%が留学生ですが、将来的には20%にしたいと考えています。
これからの研究大学は、長いスパンの学術研究を担うことに加えて、世界を相手に社会や企業と一緒に価値を創造する、さらにその過程で人材育成をする、これらが存在意義となります。
世界で価値を創造するためには、グローバルな観点からの学術的インパクトや社会的インパクトが求められるわけですが、どちらにも国際的な場で議論や討論をし、理解を深める、意志決定に参加する、あるいは各種団体と交渉ができるグローバル人材が必要です。グローバルな環境の研究大学から、そういう人材が次々に輩出されることを目指します。
そのため博士課程への進学者を現在の約2600人から、25年かけて6000人まで増やします。大学院での講義のほぼ全て、学部学生でも半分ぐらいは英語にします。英語のスキルを全体で上げていき、学生も研究者も職員も日本語か英語かのどちらかができれば、全くストレスなく普通の生活が営めるようにします。
つまり日英を公用語化し、大学全体をグローバルな環境とします。これからは対外的な能力を身に付けた博士号取得者をはじめとする高度人材が、世界を股にかけて活躍する世の中に必ずなります。その潮流は、世界ですでに起こっています。
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