欧州連合(EU)欧州委員会は3月4日、米AppleがEU競争法(日本の独占禁止法に相当)に違反すると判断して、制裁金18億4000万ユーロ(20億ドル)を科すと発表した。音楽ストリーミングサービスを巡り、自社のアプリ市場「アップストア」以外での支払い方法をユーザーに通知することを妨害したと判断した。
Appleによる妨害と、アップストアを通じた決済に対して30%の手数料を課していることは競争法違反に当たると音楽配信大手スウェーデンのSpotify(スポティファイ)が2019年に申し立てていた。
Appleは「欧州委が消費者にもたらす害について信頼できる証拠を何ら明らかにできなかったにもかかわらず、決定された」としてEUの決定を批判し、不服申し立て手続きに入ると表明した。ただ、手続きは数年を要する公算が大きい。
最終的な決着が付くまで、Appleは罰金を支払う必要がある。
Appleの株価は約2.7%下落した。
ロイターは発表前に関係筋の話として、欧州委が5億ユーロの制裁金を科すとの見通しを報じていた。実際に科した制裁金の18億4000万ユーロは、Appleの通期売上高の0.5%に相当する。
欧州委のベステアー上級副委員長(競争政策担当)は声明で「Appleは10年にわたり、アップストアを通じて音楽ストリーミングアプリを配信する市場での支配的地位を乱用してきた」と批判。「Appleのエコシステム以外で利用できる、より安価な音楽サービスを開発者が消費者に知らせることを制限した。これはEUの競争法下では違法だ」と説明した。
SpotifyはEUの決定を歓迎。同時に「音楽ストリーミング以外の市場での開発者に対するAppleの誤った行動は解決されない」とし、問題は残されているという見方を示した。
また、IDCのアナリストは、罰金の規模は巨額であるものの、Appleの保有現金に即座に影響が及ぶ可能性は低いという見方を示した。
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