マーケティング・シンカ論

「顧客の声」から何を学べるか 企業活動を変えるVOC活用の全て(2/4 ページ)

» 2024年03月22日 09時00分 公開
[北岡豪史ITmedia]

VOC収集・分析における注意点

 VOCを収集して正しく分析できれば、ビジネスに大きなプラスをもたらす可能性がある。宝の原石をうまくキャッチし、どのように磨いていけばいいのか。

 まず、VOCの「収集」である。顧客の声を収集する方法は、コンタクトセンターだけでなく、SNSやアンケート、インタビューなどさまざまある。

 しかし、自社ではうまく収集できないという話もよく耳にする。また、複数のチャネルから幅広い属性の顧客の声を収集したいが、手段が多種多様なこともあり、方針が定まらないことも多い。

 その点、コンタクトセンターは電話、メール、チャットなど顧客との直接的な接点を複数持っているため、VOC収集には最適といえるだろう。

 コンタクトセンターを中心にVOCを集めると決めたら、次は目的や目標を明確にすることが大切である。

 解決したい課題や達成したい目標があいまいだと成果は出せない。例えば、20代をターゲットにした化粧品の改善に関するVOCの収集を目的とした場合、電話では若い世代の声が拾えなかったという、ちぐはぐなことが起こり得る。

 VOC収集の目的を明確にすることで、どのような情報を収集すべきかが見え、VOCを集めるための社内体制、音声認識、CRMシステム、オムニチャネルなどの必要なシステムも明確になってくる。

 また、せっかく集めたVOCを他部門と連携して活用しているケースが驚くほど少ない。電話はカスタマー部門、SNSやWebサイトはマーケティング部門といったように、担当部門がバラバラで、VOC収集を各部門が独自に実施し、情報が分散してしまっている企業も多い。

 これらの課題はコンタクトセンターが情報の収集・蓄積・連携の役割を全て担えば解決する。関連部署に向けてVOC情報を連携できる仕組みを作れば、顧客のインサイトを全社で共有し、各部署での目的に応じて活用することが容易になる。

図1:VOCデータと活用先をつなぐ体制を構築のイメージ

 VOCの収集ができてはじめて、分析ができる。

 より深く分析するには、2つのカテゴリー変数を組み合わせて同時に集計する「クロス集計」が有効だ。例えばチャネルを組み合わせることで、電話はメールに比べて顧客の本音が出やすいとか、チャットやLINEはカジュアルな文面で本質が隠れてしまうことなどが分かる。CRMシステムデータを利用し、顧客の年齢や性別などより細かく区切って分析すれば、顧客像がより鮮明になるだろう。

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