ここまで、明快なロジックと分かりやすい図解から、多くの企業が「これが正解のためのプレイブックだ」と誤解し、目的不在で導入が進んでしまうという「THE MODEL失敗の犯人」を紹介した。分かりやすい仕事術を紹介したという話のため著者に罪はなく、改めなければならないのは導入する企業側の姿勢にある。
THE MODELで失敗しない方法を考える以前に、むやみにトレンドワードやフレームワークに飛びつく姿勢はやめよう。あらゆる企業活動に有効な考え方はない。自社の方向性や課題感にあわせて、何が最適かを考えて、施策や手段を決めよう。
またTHE MODELの導入を考えるなら、分業の粒度、計測するデータ、導入するシステム、顧客の分類方法、コミュニケーション内容といった業務設計について、THE MODELの内容をうのみにするのではなく、あくまで参考にすることだ。THE MODELではこうしているが、自社はこうしたほうが良いのではないか、と考えることが重要である。
分業や計測自体はTHE MODELの戦犯ではない。米国企業ではむしろTHE MODEL以上に細かいセールスオペレーションを設計し、これに合わせた分業やセールステック活用が進んでいる。
THE MODELを前に思考停止するのではなく、今の自社の状況や、最新のセールスプロセスの考え方を整理して、最適な営業組織を作っていこう。
<後編:「ネクスト・THE MODEL」を考える 新時代の営業に求められる3つのアップデート>
株式会社ビズリーチにて当時日本で一早くカスタマーサクセスチームの立ち上げを経験し、2018年株式会社openpageを設立。顧客取引のDXソリューション「openpage」を提供、米国流のカスタマーサクセスやセールステックについて最先端の情報を国内で広く啓蒙する。
著書に「実践カスタマーサクセス BtoBサービス企業を舞台にした体験ストーリー」(日経BP、2023年)
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