マーケティング・シンカ論

The Modelを「知ってるつもり」になる前に インサイドセールスはなぜ必要かグロービスが解説! 事例から読み解くマーケ最前線(1/4 ページ)

» 2024年01月09日 07時30分 公開
[平野善隆ITmedia]

 テクノロジーによってビジネスの在り方が変わっていく、テクノベート(テクノロジー×イノベーション)が進行している現代。特にマーケティング領域は、デジタルツールの発展によって大きな影響を受けています。

 この連載では、デジタルマーケティングにおいて「分かったつもり」ではなく、今必ず理解しておきたいキーワードを厳選し、関連事例を紹介しながらその実践におけるポイントを考えていきます。

 今回は、B2Bビジネスの最前線をチェックしましょう。近年注目を集め、多くの会社で定着しつつあるのが「インサイドセールス」です。「顧客体験価値」の重要性が高まっていることは以前にも解説した通りですが、企業向けのいわゆるB2B領域におけるこの担い手こそがインサイドセールスなのです。

 今回はこの「インサイドセールス」をテーマに、ビジネスパーソンの教育に携わるビジネススクール「グロービス経営大学院」教員の平野善隆が解説します。

筆者プロフィール:平野善隆

グロービス経営大学院「経営戦略・マーケティング」領域専任教員

慶應義塾大学経済学部卒業。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了。

住友商事を経て、グロービスに参画。法人営業、人材育成・組織開発のコンサルティング、マーケティングに従事し、現在は教員として大学院や企業研修プログラムに登壇している。主に、新規事業の創造や企業変革におけるリーダー育成プログラムに携わり、テクノベート時代における戦略立案から組織開発まで幅広くアドバイスを行なっている。


「インサイドセールス」 3つの役割

 インサイドセールスとは、主に商談のアポイント獲得やWeb会議システム、電話、メール、手紙などを使った客先を訪問しない商談方法で契約締結を目指すものです。

 インサイドセールスには、大きく分けると3つの役割が存在します。

 1つ目は、問い合わせから商談の機会を創出する役割。マーケティング施策で得られたリード(見込客やコンタクト情報)を営業に橋渡しするものです。2つ目は、顧客になりうる層に電話やメール、手紙などでコンタクトを取り、商談機会を創出する役割。リードそのものを発掘するものです。そして3つ目は、客先に訪問せずにオンライン商談を進め、最終的な契約締結までを行う役割です。

 一見すると、営業サポートのような印象を持たれるかもしれませんが、そうではありません。インサイドセールスの最大の価値は「顧客の購買体験を変化させること」です。マーケティング部門・営業部門が一体となり成果を上げるために、欠かせない役割と言えるでしょう。

 また「できるB2Bマーケター」とは、このインサイドセールスの価値を十二分に生かす動きができるマーケターとも言えます。だからこそマーケティング担当者は「インサイドセールスは営業の仕事」と線を引かず、その役割や業務についてしっかりと理解する必要があるのです。

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