インサイドセールスが重要視されるようになった背景には、3つの理由があります。
1つ目は「顧客企業の購買行動の変化」です。かつては、法人ビジネスと言えば、“まず営業に会う”というのが顧客にとっての最初の購買行動でした。しかし、ここ数年で大きく変わったのは、インターネットの普及により、顧客が自ら情報収集できる手段が広がったという点です。
この変化の結果、自社の製品・サービスの魅力を十分に伝えることができないまま、知らぬ間に競合他社を選択されてしまうケースが増えてきています。
マーケティングコンサルティング会社であるシリウス・ディシジョンズの調査によれば「(情報収集・比較検討・意思決定といった)顧客の購買プロセスのうち67%は、営業に会うまでに終わっている」と明らかになっています。これは、マーケティング施策から営業(商談)にいたるまでのプロセスをより丁寧に対応しなければならなくなっていることを示唆しています。
2つ目は「ビジネスモデルの変化」です。サブスクリプションモデルが台頭したことにより、顧客の意思決定にも変化が出てきました。従来の売り切り型の商品・サービスであれば、設計・開発・導入まで長期間を要し、莫大な初期コストを支払わなければなりませんでした。
しかしサブスクリプションモデルの商品・サービスであれば、早く、安く始めることが可能で、かつ、継続的なアップデートによる新機能の恩恵を受けることもできます。
こうして、顧客にとって素早く気軽な意思決定が可能となると、問い合わせ数も増加する傾向にあります。また、導入コストが安いため、契約自体をオンラインで完結することも可能になりました。すると、数の増えたリードを適切にさばき、時には従来の営業ほどのコストをかけずとも契約締結できる案件を、先んじて完結させられる役割の存在が必要となります。
最後に3つ目は「働き方の変化」です。リモートワークの普及、場所を選ばない働き方を望む人材が増えてきている中で、オンラインで完結できるインサイドセールスの働き方は相性が良いと言えます。
上で触れた2つの理由に加え、クラウド型アプリケーションの進化やポストコロナの商習慣の変化も相まって、インサイドセールスを導入する企業は増えてきています。こうした役割そのものへのニーズのほか、人材不足が叫ばれる中で社員が柔軟に活躍できる場をつくるという意味でも、インサイドセールスの重要性は高まっているのです。
以上の3つを踏まえると、企業のマーケティングや営業活動は、このテクノベート時代に変革を迫られていることが分かります。そんな中でインサイドセールスは、顧客に寄り添い、社員のやりがいも満たしながら、生産性を高めるための欠かせない存在とも言えそうです。
なおインサイドセールスを導入する企業は増えつつあり、『インサイドセールス』著者の茂野明彦氏によれば、2015年から18年までの3年間でインサイドセールスの求人は約18倍に増えています。この数値からも、その重要性は明らかではないでしょうか。
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