これは機能性表示食品を扱う事業者からすればとんでもない「とばっちり」であることは言うまでもないが、それに加えて「経営リスク」でもある。
『日本農業新聞』が2月に報じたところによれば、2023年の機能性表示食品の市場規模は前年比19.3%増の6865億円。人口減少で多くの市場がシュリンクする中、右肩上がりで増えている有望市場だ。ただ、それは裏を返すと、この成長に依存している事業者もかなりいるということだ。
5月末の検討チームの見直し結果によって、制度利用のハードルが上がったり、制度そのものが変更されたりすればどうなるか。リソースの乏しい中小事業者がこれまでのように制度を利用することができず、中には収益が悪化するところも出てくるのではないか。
こういう「経営リスク」を踏まえれば、「自分たちの不祥事にみんなを巻き込むな」「あんたらが2カ月も公表を渋らず、さっさと回収してくれたらこんなに問題が大きくならなかったのに」と小林製薬に対して恨み節を吐く同業他社は多いはずだ。
ただ、報道対策アドバイザーとしてさまざまな企業の危機管理に携わっていると、こういう「業界道連れパターン」は決して珍しくない。不祥事を起こして会社がボロカスにたたかれるというのはよくあるが、その不祥事があろうことか「業界全体の問題」として拡大解釈されてしまう。そして、風評被害で同業他社の売り上げが落ちたり、業界全体への規制が強まったりしてしまうのだ。
そのため、業界内では四面楚歌となり、その不祥事が収束した後もイメージが悪いということで、業界団体の取り組みや、他社との協業や提携において露骨な「村八分」に遭うのだ。
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