そんな中で「機能性表示食品市場が右肩上がりで急成長」なんて話を聞いたら、疲弊する医療従事者はどう感じるだろう。「薬でもないくせに、医療でもないくせに、こっちと違ってずいぶん景気がいいじゃないか」とイラっとする人もかなりいるのではないか。
そして、その中には現行の機能性表示食品制度をあらためて、この手のサプリメントや健康食品に対しても、医療界がしっかりと安全性をチェックして、医療従事者にもちゃんと恩恵があるようなシステムに変えていくべきだと考えるような人もいるのではないか。
「バカバカしい、陰謀論だ」と鼻で笑う人も多いだろうが、実は先ほどの「かかりつけ医」の資料にもあるが、これからの日本は「2025年以降、『高齢者の急増』から『現役世代の急減』に局面が変化する」という大きな危機が到来する。
高齢者の介護や医療を支えるはずの現役世代が加速度的に減っていくため、社会保障はパンクする。国がどんどん紙幣を刷れば良いというレベルの話ではなく、消費と納税をけん引する現役世代の総数が激減するため、医療マーケットも急速に縮んでいくのだ。
しかし、日本に「移民」という選択肢はない。となると、縮みゆく市場はどうするか。国内のよその市場から奪うしかない。人口減少社会の本当に恐ろしいことは、同じ国民の中で限られたパイの奪い合いをしなくてはいけないことなのだ。
消費者が減少しているこの国で、機能性表示食品のように右肩上がりで成長をしている市場は当然、「持たざる者」たちから狙われる。その時、紅麹問題のようなものは格好の「略奪の大義名分」になる。
筆者の見立てでは、「機能性表示食品制度の見直し」は序章にすぎない。関連企業の皆さんはぜひ情報のアンテナを張って、来るべき「危機」に備えていただきたい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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