言語AIサービスを手掛ける独スタートアップDeepLは4月25日、大規模言語モデル(LLM)を搭載したビジネス向けの新サービス「DeepL Write Pro」を発表した。英語での文章作成をサポートするサービスで、グローバル展開する企業の社内コミュニケーションや、顧客向けのメッセージなど、ビジネスにおける多様なシーンでの活用を見込む。
ヤロスワフ・クテロフスキーCEOは都内で行われた自社イベントに登壇し、ユーザー数世界第2位を誇る日本に向け、新サービスの概要を説明した。
DeepL Write Proは同社独自のLLMを搭載した初のサービスだ。外国語で文章を作成する際に、AIがリアルタイムで適切なワードの選択や言い回し、文体、語調などを提案する。
クテロフスキーCEOは「正しい文章を単調な表現で書くのではなく、より自分らしい、その企業の個性を反映した表現で提案できるのが新サービスの特徴だ」と話す。DeepL Write Proは文章の使用目的に応じて、よりアカデミックにしたり、よりフレンドリーにしたりと、文章の文体や言い回しを選択できる。
同サービスは現在、英語とドイツ語に対応している。企業が社内文章を紡ぎだすツールとしての役割が期待されており、クテロフスキーCEOは「重要なのはユーザーとAIのコラボレーションだ」と説明した。
新サービスの導入による日本企業への影響はどう考えているのか。
クテロフスキーCEOは「“言語の違い”に障壁を感じているグローバル企業が、より効率的に、一体感を持って働けるようになる」と期待を語る。
例えば、とある日本の自動車メーカーでは、日本に研究開発拠点や製品の製造拠点を設けている。米国にも顧客がいるが、日本では対応しきれず、顧客対応の拠点を米国に設置。英語で顧客の声を拾い、それを日本語に翻訳し、開発のシーンで活用していた。
従来サービス「DeepL Write」を活用したことで、英語と日本語の二言語を行き来することで生じる認識の齟齬が減少し、一連の流れがスムーズになったという。
他にも、大和証券では、日本の従業員が作成した投資家向けのレポートを、複数の言語に翻訳し、世界中の投資家に読んでもらえるようになった。
新サービスのリリースにより、日本企業のグローバル化や海外展開は促進されるか。今後の動向にも注目したい。
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