今でこそ成果が出ており、顧客満足度も従業員満足度も高いが、全社を挙げたデータ活用、DX推進にはかなりの苦労があったという。
同社では「環境・人材・文化」の3軸でDX推進に取り組んできた。
「環境はツールの導入や整備、人材はDX人材の育成。そして文化は、みんなが働きやすく、『DX推進やツール導入が正しいことなんだ』と全社員が思っている状態を目指すこと。この文化の醸成がすごく大変だった」(デジタル推進部長・植田信生氏)
各本部、各従業員がDX推進を自分事化するためにはどうするべきか……。同社も頭を悩ませたという。
さまざまな工夫をする中で、(1)「小さな成功体験」を重ねたこと、(2)社長を巻き込み、トップダウンで進めたこと──の2点が、特に大きく貢献した。
まず、DXを推進するにあたり、本部ごとに「3年後に目指したい姿」と「具体的なアクション」を決め、社長直轄の会議で取り組みの内容、進捗を発表したという。植田氏や長谷川氏の所属するデジタル推進室、MISデータ管理部は徹底的に各本部のサポートに回った。
「DX推進を始めた当初は、現場の従業員からは『デジタル、DXはシステム部門の仕事でしょ』というイメージを持たれていたが、全員が自分事化していかねばならないと感じていた。従業員のマインドを変化させる必要があった。
現場からあがった課題に対して、システム部門がサポートをするという座組みで推進したからこそ、ツール導入なども組織の新たな風土として根付かせることができた」(MISデータ管理部長・長谷川氏)
「各本部がDXに取り組み、小さな成果を出したことが成功体験となり、DX推進における問題意識の醸成につながった。
その結果、全社的にDX人材の不足に取り組むことになった際も、どの本部でも共通の課題認識を持つことができた」(デジタル推進部長・植田氏)
今後は生成AI活用に注力する方針だ。NISAや投資への興味関心の高まりとともに、証券サービスも増えている。手数料無料のサービスなどは、同社にとっても大きな脅威になりうるという。
「生成AIによって、多くのことが“人がいなくても”完結できるようになってきた。今後は、デジタルマーケティングにおいて、生成AI活用を含めてビジネスを再度デザインすることで、当社ならではの差別化要素を確固たるものにしていきたい」(MISデータ管理部長・長谷川氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング