新時代セールスの教科書

大和証券、データ活用で成約率2.7倍 「顧客に損をさせない」ための秘策とは?「NPS」を重要指標に(3/3 ページ)

» 2024年05月10日 10時00分 公開
[大村果歩ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

「DXはシステム部門の仕事」ではない 全社のDX推進、どう進めた?

 今でこそ成果が出ており、顧客満足度も従業員満足度も高いが、全社を挙げたデータ活用、DX推進にはかなりの苦労があったという。

 同社では「環境・人材・文化」の3軸でDX推進に取り組んできた。

 「環境はツールの導入や整備、人材はDX人材の育成。そして文化は、みんなが働きやすく、『DX推進やツール導入が正しいことなんだ』と全社員が思っている状態を目指すこと。この文化の醸成がすごく大変だった」(デジタル推進部長・植田信生氏)

DX オール大和でDXを推進、苦労も多かった(提供:大和証券)

 各本部、各従業員がDX推進を自分事化するためにはどうするべきか……。同社も頭を悩ませたという。

 さまざまな工夫をする中で、(1)「小さな成功体験」を重ねたこと、(2)社長を巻き込み、トップダウンで進めたこと──の2点が、特に大きく貢献した。

 まず、DXを推進するにあたり、本部ごとに「3年後に目指したい姿」と「具体的なアクション」を決め、社長直轄の会議で取り組みの内容、進捗を発表したという。植田氏や長谷川氏の所属するデジタル推進室、MISデータ管理部は徹底的に各本部のサポートに回った。

 「DX推進を始めた当初は、現場の従業員からは『デジタル、DXはシステム部門の仕事でしょ』というイメージを持たれていたが、全員が自分事化していかねばならないと感じていた。従業員のマインドを変化させる必要があった。

 現場からあがった課題に対して、システム部門がサポートをするという座組みで推進したからこそ、ツール導入なども組織の新たな風土として根付かせることができた」(MISデータ管理部長・長谷川氏)

 「各本部がDXに取り組み、小さな成果を出したことが成功体験となり、DX推進における問題意識の醸成につながった。

 その結果、全社的にDX人材の不足に取り組むことになった際も、どの本部でも共通の課題認識を持つことができた」(デジタル推進部長・植田氏)

今後は生成AI活用に注力

 今後は生成AI活用に注力する方針だ。NISAや投資への興味関心の高まりとともに、証券サービスも増えている。手数料無料のサービスなどは、同社にとっても大きな脅威になりうるという。

 「生成AIによって、多くのことが“人がいなくても”完結できるようになってきた。今後は、デジタルマーケティングにおいて、生成AI活用を含めてビジネスを再度デザインすることで、当社ならではの差別化要素を確固たるものにしていきたい」(MISデータ管理部長・長谷川氏)

DX ユーザーがプロンプトを入力することなく、音声データから個別業務に特化したアウトプットを生成するアプリケーション「Speech2Summary」を開発。社内での業務利用を開始している(プレスリリースより)
前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.