アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授する。
Q.職場の若い世代を飲みに誘いたいけれど、嫌がられるのではないかと心配です。そんな中間管理職の悩みを和らげる、ChatGPTの活用法はありますか?
価値観の異なる世代とのコミュニケーションは、どこの組織でも悩ましいテーマだろう。チームをまとめる側として、お互いを知るために飲み会を開きたいと考えているものの、今の若者は職場の飲み会を避けたがるという話も耳にする。無理に誘って嫌われたくはないが、面と向かって本音を聞くのも難しい……。
そんなときは、ChatGPTに若者役を演じてもらい、誘い方のシミュレーションをしてみよう。
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。
まずは飲み会に対する価値観の異なる3人の若者をChatGPTに演じてもらい、飲み会の誘いに対する答えと、その裏にある本音も教えてもらおう。
3人の役割を指定し、次のように指示する。
【プロンプト】
私は40代の中間管理職です。職場のチームで飲み会を開きたいを思っています。私が飲み会に誘ったら、どのように感じますか? 以下3人の若者として答え、あわせてそれぞれの本音を教えてください。
Aさん:飲み会が好き。積極的に参加したい
Bさん:プライベートな飲み会は楽しいが、職場の飲み会は気を遣うので乗り気ではない
Cさん:お酒が苦手なので、飲み会には参加したくない
ChatGPTからは、以下のようなAさん、Bさん、Cさんそれぞれの「表面的な反応」と「本音」が出力された。BさんとCさんは本音と建て前を使い分けていることが分かる。
【回答】
Aさん(飲み会が好きで積極的に参加したい)
表面上の反応:「飲み会のお誘い、ありがとうございます!楽しみにしています。何か準備することがあれば、ぜひ教えてくださいね。」
本音:飲み会が好きなので、本当に楽しみにしています。同僚と親睦を深める良い機会だと感じていて、積極的に参加する意欲があります。
Bさん(プライベートな飲み会は好きだが、職場の飲み会は苦手)
表面上の反応:「飲み会ですか?日程次第では参加できると思います。楽しみにしています!」
本音:職場の飲み会は正直気が進まないです。上司や同僚との関係性を気にしながら行動する必要があるので、リラックスできないと感じています。できれば避けたいですが、断りにくい状況なので参加するしかないと思っています。
Cさん(お酒が苦手で飲み会に参加したくない)
表面上の反応:「ありがとうございます。ちょっとお酒は苦手なのですが、時間が合えば顔を出すかもしれません。」
本音:実はお酒が苦手で、飲み会自体に興味がありません。飲めないことが孤立感を感じさせるかもしれないと心配しています。できれば参加したくないですが、仕事の一環として参加が求められることもあるので、その場合は仕方なく顔を出すことになるでしょう。
できれば参加したくないのが本音のBさんやCさんの気持ちを動かすには、どんなアプローチが必要なのだろうか? 一旦会話のシミュレーションから離れ、誘い方のアイデアを聞いてみたい。
その場合は上記の回答結果に続けて、次のように指示する。
【プロンプト】
BさんとCさんに参加してもいいと感じてもらうには、どんな誘い方をすればいいですか?
それぞれにあわせた誘い方のコツと、文言のサンプルが以下のように出力された。参加したくない理由によって、アプローチが異なることが分かる。
【回答】
BさんとCさんに参加してもらいやすくするためには、彼らの懸念や好みを考慮に入れた誘い方が効果的です。以下に具体的なアプローチを示します。
Bさん(プライベートな飲み会は好きだが、職場の飲み会は苦手)
例えば、こんな誘い文句が良いでしょう。 「来週の金曜日に、少しカジュアルな飲み会を企画しています。参加は完全に自由なので、気軽に顔を出してくれたら嬉しいです。お酒を飲まなくても楽しめるように、いくつかゲームも用意しています!」
Cさん(お酒が苦手で飲み会に参加したくない)
例えば、こんな誘い文句が良いでしょう。 「次の飲み会では、アルコールだけでなく、様々なノンアルコールドリンクも用意する予定です。お酒が苦手な方でも楽しめるように、食事やお話を楽しむ時間もたっぷりとりたいと思います。興味があれば、ぜひ気軽に参加してくださいね。」
これらのアプローチは、それぞれのメンバーが無理なく、そして楽しく参加できるように配慮しています。
上記のアドバイスを踏まえ、BさんやCさんの心に届く誘い方で会話を続けてみよう。プロンプトに「会話の続きです」と入れることで、再び会話形式の出力に戻ることができる。
【プロンプト】
以下は会話の続きです。BさんおよびCさんとして会話に答え、あわせてそれぞれの本音を教えてください。
「スイーツやノンアルコールドリンクが充実した、ちょっとおもしろい居酒屋に行こうと思っているんだよ。忙しければ乾杯だけで帰っても大丈夫だよ」
最初の会話と同様に、表面上の反応と本音が出力された。当初より軟化しているものの、やはり心から参加したいと思っているわけではなさそうだ。
【回答】
Bさん(プライベートな飲み会は好きだが、職場の飲み会は苦手)
表面上の反応:「それはいいですね!スイーツがあるのは嬉しいです。乾杯だけでも大丈夫というのは助かります。時間を確認して、参加できるかどうか連絡しますね。」
本音:スイーツやカジュアルな雰囲気は魅力的だけれど、やはり職場の飲み会は少し気を遣うな。乾杯だけで帰れるオプションがあるのは安心だけど、できれば早めに抜け出したい。参加はするけど、長居はしたくないな。
Cさん(お酒が苦手で飲み会に参加したくない)
表面上の反応:「ノンアルコールドリンクがあるなら、ちょっと行ってみたいですね。お酒の席でも楽しめそうですし、乾杯だけでも大丈夫なんですね。時間が合えば参加します!」
本音:お酒が苦手で飲み会は避けたいけど、ノンアルコールドリンクがあると聞いて少し安心した。乾杯だけの参加も許されるみたいで、それならプレッシャーなく顔を出せるかもしれない。でもやっぱり長時間はいたくないな。
ここからさらに会話を続け、BさんやCさんの本音が前向きなものになる誘い方を試行錯誤することも可能だ。
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