では、こうしたサービスはどのような形で実現しているのだろうか。
一般的に、銀行サービスを提供するためには、銀行免許の取得が必要とされる。しかし、銀行免許の取得には多額の資本金や厳格な審査プロセスが求められるため、参入障壁が高いのが実情だ。
これに対してBaaSでは、銀行免許を持つ金融機関が、自社の金融機能をAPIなどの形で外部に公開する。そして、このAPIを活用して、他の企業が自社サービスに銀行機能を組み込んでいく。つまり、銀行免許を持たない企業でも、BaaSを活用することで、疑似的な銀行サービスを提供できるようになるのだ。
顧客から見ると、BaaSのサービスは、あたかもその企業が直接提供する銀行サービスのように見える。例えば、小売業の企業が自社アプリに金融サービス機能を搭載すれば、顧客はそのアプリ上で口座開設や残高照会、決済などを行うことができる。まるで小売業の企業が自前の銀行を持っているかのような体験が可能になるわけだ。
しかし、その実態は異なる。顧客が口座開設した先は、あくまでもBaaS機能を提供する銀行だ。小売業の企業は、銀行が提供するAPIを通じて、顧客の口座情報にアクセスしているにすぎない。
こうしたBaaSの構造により、銀行は自前でサービスを展開するのではなく、パートナー企業を通じて間接的に顧客にアプローチする。一方、企業はこの仕組みを利用することにより、金融サービスを自社のビジネスに組み込むことが可能になる。
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