なぜ、人気マンガ作品とのコラボをここまで進めているのか。その狙いについて河合ディレクターがこう話す。
「実はリアルゴールドの購買層と、『ジャンプ』作品のような漫画が好きな層とは相性が良い結果が出ています。なぜそうなっているかまでの理由は分かっていないのですが、リアルゴールドの愛飲者層には、マンガ、アニメ、ゲーム好きが多いことがマーケティングの結果から判明しています。この傾向は他の飲料にはあまりない特徴でもあります」
他にも、リアルゴールドならではの特徴があるという。
「半分以上の購買が自販機からによるもので、これも弊社の飲み物の中で際立って高いものになっています。そのため、弊社のアプリ『Coke ON』との相性もすごく良く、これがCoke ON上でリアルゴールドが積極的なコラボ展開を仕掛けている背景でもあります」
Coke ONは2016年4月に提供開始したアプリ。同社のスマホ対応自販機を利用してアプリ内でスタンプを15個集めると、ドリンク1本と交換できるサービスだ。2024年2月時点で5200万ダウンロードを突破している。Coke ONが使用できるのは国内の自販機のみだ。国内専用のアプリとして、5200万というダウンロード数はかなりの普及率といえる。Coke ON対応の自販機の数も全国約45万台に達したという。
Coke ONを通すことによって顧客の属性や購買傾向、時間帯などが分かるようになる。そのためリアルゴールドの綿密なマーケティング戦略にも役立っている。こうしたリブランドなどマーケティングのかいもあり、2023年度の「リアルゴールド」缶製品合計の売り上げは2022年度比で2桁増を達成できているという。
河合ディレクターが今後の課題を語る。
「もともとが栄養ドリンクを意識して作られたブランドというのもあり、若い世代の獲得に課題を残しています。マンガとのコラボを積極的に進めているのもその意図があるのですが、まだまだエナジードリンクの主要購買層である10代20代を取りこぼしている印象です。また、リアルゴールドはまだ日本だけの製品ですので、アジアなど海外にも展開していけたらいいなと思っています。若い世代に向けてうまく新陳代謝をし続けていきたいですね」
43年も続くブランドとなると、いかにして消費者の世代交代を成功させるかは課題の中心になる。ましてや栄養ドリンクという古いブランドイメージに引っ張られがちなリアルゴールド。どのように今後もイメージを刷新していくのか。
日本発の同ブランドの戦略は「若返り成功事例」として、多くの老舗企業の参考になるかもしれない。
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