マーケティング・シンカ論

43年続く「リアルゴールド」 データを駆使した日本コカ・コーラのリブランド戦略売上は2桁増(1/2 ページ)

» 2024年05月14日 08時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 2010年代以降、エナジードリンク市場が伸び続けている。市場調査会社のインテージの調査によると、2022年の国内市場規模は前年比7.5%増の887億円を記録。2017年比では約1.7倍の伸びとなっている。

 世界的に見てもエナジードリンク市場は拡大基調にある。市場調査会社、グローバルインフォメーションの調査によると、2022年の市場規模913億4800万米ドルが、2030年には1665億9000万米ドルに達するとの予測が出ている。実に1.8倍もの成長だ。

 その一方で、相対的に減っているのが栄養ドリンクだ。特に栄養ドリンクの代表製品と言える、大正製薬の「リポビタンD」を見てみよう。ピーク時の2000年度には売上高が797億円だったのに対し、2023年度は293億円と、60%以上も減らしている。苦境の要因には、エナジードリンクの攻勢だけでなく「ファイト一発」などといった体育会的、熱血なフレーズが時代にそぐわないこともあるのかもしれない。

 こうした時代の変化を受けて、リブランドを進めているのが「リアルゴールド」だ。リアルゴールドは日本コカ・コーラが1981年に発売した飲み物で、当時は瓶入り商品だけで展開していた。容量も140ミリリットルと小容量で、栄養ドリンクを意識していた飲み物だ。

 実はコカ・コーラ、カナダドライ、ファンタといった同社が展開する炭酸飲料のうち、リアルゴールド以外のロングセラーはどれも海外発のブランドだ。リアルゴールドは日本発の炭酸飲料として、40年以上にわたって続いている。しかし、2024年時点で海外への展開は行っていないという。ちなみに炭酸飲料以外では、缶コーヒーのジョージアが1975年から日本発の半世紀近いブランドとして展開している。

「このおうきなプニプニの唇は誰だ!?」。リアルゴールドの立体広告を東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナードで5月12日まで掲出(以下、画像は日本コカ・コーラ提供)

日本発の炭酸飲料 競合との「究極の違い」とは?

 そんなリアルゴールドも、エナジードリンクの攻勢によってブランドの転換を2022年に実施している。リアルゴールドのブランドを統括する河合和人ディレクターがこう話す。

 「リアルゴールドは2022年2月に大きくリブランドしました。それまでは40〜50代の働き盛りの男性をメインターゲットに、働く人の元気をサポートしてきましたが、自分らしくより楽しいライフスタイルを充実させていくための飲み物としてブランドを刷新しました。また、栄養ドリンク的なイメージから、“楽しく生きるためのエナジー”を与えるドリンクとして打ち出すようにしました」

河合和人 2011年、日本コカ・コーラに入社。カスタマー&コマーシャルリーダーシップ部で、スーパーマーケット、ドラッグストア、ディスカウントストアの購買者マーケティングを担当。2016年からマーケティング本部にて「ミニッツメイド」「カナダドライ」「ファンタ」などのブランドを担当。現在はディレクターとして「リアルゴールド」を中心としたエナジー飲料、および「カナダドライ」を中心とした大人向け炭酸飲料のブランドを担当

 かつては小容量の飲み物として展開していたリアルゴールドは、2010年代前半に大容量のペットボトル商品を発売。リブランドと同時に「リアルゴールド ウルトラチャージレモン(490ミリリットル)」をリニューアルし、レモン感を強めることで、普通の炭酸飲料のようによりゴクゴク飲めることを狙っている。

 一方で、昔ながらの栄養ドリンク的な小容量を求める愛飲者も多く、缶入りの「リアルゴールド」も同時展開している。缶入りのリアルゴールドは、160ミリリットルと190ミリリットルの2種類で展開しており、コンビニなどの小売店より、主に自販機で販売しているのも特徴だ。

 流通量は少ないながらも、発売以来の瓶入りの「リアルゴールド オリジナル」も展開。リアルゴールドブランドは現在、この3製品を主軸にしている。

 栄養ドリンク的位置付けからエナジードリンクを意識したブランド転換を狙っているリアルゴールド。競合商品がひしめく中、いかにして差別化を図るのか。実はリアルゴールドには、栄養ドリンクを競合に意識していた頃からの「ある究極の違い」があるという。河合ディレクターが明かす。

 「幅広い方々に手に取っていただけるように、リアルゴールドにはカフェインが入っていないのです。カフェインの代わりに、ハチミツ製造の杉養蜂園(熊本市)認定のローヤルゼリーエキス、高麗人参エキス、ビタミンB群、ビタミンCなどを配合することで差別化を図っています」

 2022年2月のリブランド以降、世代交代を図るべく、積極的なコラボ展開を見せている。同年5月には、X JAPANのYOSHIKIプロデュースの下、「リアルゴールドX/Y」を発売。「X」はロックの高揚感をコンセプトにガラナを配合、「Y」はクラシックの集中力をコンセプトにテアニンを配合した。競合他社のエナジードリンクとの差別化を図っている。

X JAPANのYOSHIKIプロデュースの「リアルゴールドX/Y」

 さらに、キャラクターコンテンツとのコラボも進めている。2022年の前半は『週刊少年ジャンプ』で連載されていた人気マンガ『銀魂』で、日本コカ・コーラの公式アプリ「Coke ON」でコラボし、ミニゲームなどを展開している。後半からは同じく『ジャンプ』作品の『NARUTO』『BORUTO』とのコラボを展開し、コラボパッケージモデルも販売した。

 翌2023年は、主に1980年代に『ジャンプ』で連載され、2011年から『週プレNEWS』で連載が続いている『キン肉マン』とコラボ。「リアルゴールド」190ミリリットル缶と、「リアルゴールド ウルトラチャージレモン」でコラボパッケージモデルを展開した。

『キン肉マン』とコラボ(2023年12月31日まで)

 そして2024年4月からは、『週刊ヤングジャンプ』で2006年から連載中の人気マンガ『キングダム』のアニメとのコラボを実施している。「リアルゴールド」190ミリリットル缶と、「リアルゴールド ウルトラチャージレモン」の2製品でコラボパッケージモデルを展開しているほか、東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナードで巨大広告も5月6日から掲出。Coke ONでもミニゲームを展開しており、多面的に展開している。

『キングダム』とコラボ
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.