生成AIでデジタル戦略はこう変わる AI研究者が語る「一歩先の未来」
【開催期間】2024年7月9日(火)〜7月28日(日)
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【概要】元・東京大学松尾研究室、今井翔太氏が登壇。
生成AIは人類史上最大級の技術革命である。ただし現状、生成AI技術のあまりの発展の速さは、むしろ企業での活用を妨げている感すらある。AI研究者の視点から語る、生成AI×デジタル戦略の未来とは――。
ドライバーがハンドルを握らなくてよい自動運転。これを実現するために不可欠なものが、精巧な道路地図と、道路に渋滞が起きていないかなど最新情報を加えたライブの地図情報だ。日本を代表する地図メーカー、ゼンリンはAIなどを取り入れながら地図情報を作り続けている。
現在はドライバーが運転席に座ってはいるものの、高速道路上でハンドルを握らなくても運転できる「レベル3」ができる状況にまで進歩した。自動運転地図の方向性について、ゼンリンのモビリティ&スマートシティの事業を担当する古屋貴雄本部長に聞く。
古屋氏は、現在の自動運転の状況について、以下のように説明する。
「市販車ではホンダの『レジェンド』は高速道路上で『ハンズオフ(ハンドルから手を放してよい)』と『アイズオフ(目線をずらしてよそ見をしてもよい)』の運転ができます。日産自動車の『スカイライン』などは『ハンズオフ』の運転が可能になっています。しかし、一般道の『レベル3』は対象外です」
全国に張り巡らされた自動車専用の高速道路約3万キロのうち、条件付きでレベル3での運転が可能だ。
高速道路を走行するのに必要な自動運転地図は、自動車メーカー、地図会社、計測機械、測量会社などがオールジャパンで出資して2016年に設立された「ダイナミックマッププラットフォーム」が高精度3次元地図のうち、協調領域と呼ばれる基盤データ部分を製作している。これをベースにさまざまな道路の属性情報や工事情報などをゼンリンが追加整備し、自動車会社へ提供。「レベル3」での運転を可能にした。
古屋氏は「一般道については個別の会社ごとに進めているプロジェクトになっており、主要道路で整備することの研究を進めています」と話す。
これより一歩進んだ「レベル4」は、限られた区域ではあるものの、全ての運転操作を自動化したものだ。古屋氏は「実用までに、まだ時間がかかる」と見通しを話す。
「スタティック(静的)な地図情報だけでは実現は難しいです。高速道路ではダイナミック情報と高精度3次元地図との連携が必要となり、全部の道路で実現するのはまだ時間がかかります。一般道は人が飛び出して来たら止まらなければなりません。安全性という観点では、高速道路とは厳しさが全く違ってきます。実現までには課題が多く、ハードルがまだ高いです。今後、全国で実証実験をしながら段階的に広げていくしかありません」
レベル4や一般道への拡大が前進するかどうかは、地図情報に加え、センシング技術の開発の行方がカギを握るという見方を示す。
「前進には、高度なセンシング技術を使った情報の重要性が高まり、車両間、信号機と車両、歩行者と車両間のやりとりをいかにつないでいくかが必要となってきます。それを支えるのが地図情報になると考えています」
一方で、レベル4での運転は、当面は市販車向けではなくある一定の限られた管理下のもとで走らせることになる。
「地方ではバスの運転手不足が深刻化しているので、自動運転のデマンドバスをどのような形で導入するのか検討が進んでいます。BRT(バス高速輸送システム)や走行レーンが決まっている場所に限定すれば、走行は可能です」
自動運転で必要となる地図は機械が読み込むため、内容にバラツキがあると使えない。
「地図が地域ごとにバラツキがあることは許されないので、全国の地図データを同一仕様で整備していることは当社の強みです。また、膨大なデータを扱うので、人でなくてもできる工程は、なるべく自動化しようとしています。機械で処理した場合にエラーが出るので、それをAIに学習させてエラーを修正させるようにしています」
自動運転地図の標準化については「日本の高速道路の自動運転で活用されている地図データは標準化できた例です。欧州ではコンソーシアムが立ち上がって標準化しようという動きがあります。しかし、各メーカーで独自の機能を作り込むという動きもあるので、全てを標準化するのは難しい」と打ち明ける。
地図作りに、生成AIはいかにして導入できるのだろうか。
「バラツキを抑制でき、作業もスピードアップできます。生成AIは取り組んでいかなければならないテーマなので、どの工程での利用が適しているかを研究中です。生成AIが出してきたコンテンツがどこまで使えるのかも、評価しなければなりません。興味を持って進めてはいるものの、まだ実際に運用に取り入れたものはない状況です」
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