そうなると、ここまで議論してきた前提が大きく変わる。まずCAFE規制は、燃料を変えることで即時問題が解決する。もちろんCNFの生産量とコストの問題は当分あるだろうから、2050年までは化石燃料とCNFの混合燃料を使うことになるだろう。年次を追うごとにCNF比率を増やし2050年に100%にすれば良い。
例えば1980年代のクルマの燃費を思い出すと、リッター10キロ走ればまあまあ燃費の良いクルマだった。当時のガソリン価格がリッター150円だったとして、燃費が倍のリッター20キロになれば、1キロ当たり走行単価で見るとリッター300円で同等だ。ハイブリッドを使うことでコスト上昇を抑えられるのである。
スバルのカーボンニュートラル燃料の取り組み
何よりも、気候変動問題が提起されて以降、CO2を排出することは悪だった。自動車メーカーとしては世界が決めたモラルを無視できない。BEVが売れてくれれば良いのだが、思うように売れない中で、規制が厳しくのしかかる。そういう現状を大きく変えてくれるのがCNFである。
いままでモラルの問題として厳しい状態にあった燃費が、単なるユーザーコストの問題に回帰する。ユーザーさえ納得すれば燃費が悪いクルマでも成立するのがCNFの時代である。
逆に言えばユーザーが「このエンジンにほれ込んだから燃費のコスト差は気にしない」ということが言えるようになったのである。
レヴォーグで提示されたスバルの未来
シャシー性能に注力したスバルの改革は、本当にスバルに相応しい戦略だ。すでに何度も書いてきているが、フラット4の余命はそう長くない。CAFE規制の今後を見れば、少数生産の特殊エンジンとして生き残ったとしても、いつまでも主力ではいられないだろう。その時「スバルの走りとは何か?」と問われたとして、このレヴォーグのSGPセカンドジェネレーションには十分な説得力があり、スバルがスバルでい続けられる理由が相当に明確になった。
スバルはこれからもAWD+ターボ+ワゴン
スバルは東京モーターショーで新型レヴォーグを出品した。レヴォーグはそもそも日本国内マーケットを象徴するクルマである。スバルは、日本の自動車史を代表するザ・ワゴンとして、レヴォーグはGTワゴンという形を死守する覚悟に見える。
好決算のスバルがクリアすべき課題
今回はスバルの決算が良すぎて、分析したくてもこれ以上書くことが無い。本文で触れた様に、研究開発費は本当にこれでいいのか? そして価格低減の努力は徹底して行っているのか? その2点だけが気になる。
変革への第一歩を踏み出したスバル
新広報戦略の中で、スバルは何を説明したのか? まず核心的なポイントを述べよう。今回の発表の中でスバルが「次の時代のスバルらしさ」と定義したのは、従来通りの「安心と愉しさ」で、その意味において従来の主張とブレはない。従来と違うのは、その「安心と愉しさ」とは何なのかについて、総花的にあれもこれもありますではなく、もっと具体的言及があったことだ。
スバルが生まれ変わるために その1
筆者を、スバルは北米の有力ディーラーへと招待した。ペンシルバニア州アレンタウンの「ショッカ・スバル」は、新車・中古車を合わせた販売数で全米1位。新車のみに関しても、全米最多級である。「スバルは他と違う」と、この自動車販売のプロフェッショナルは、本気でそう思っている。けれど、具体的に何がどう違うのかが全く説明されない。北米ビジネスの成功について、何の戦略があり、何をしようとしているのか、それを知りたいのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.