水平対向+シンメトリカルAWDをアイデンティティーとして取り戻すスバル池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/4 ページ)

» 2024年06月10日 08時37分 公開
[池田直渡ITmedia]

CNFがすべてを解決する

 そうなると、ここまで議論してきた前提が大きく変わる。まずCAFE規制は、燃料を変えることで即時問題が解決する。もちろんCNFの生産量とコストの問題は当分あるだろうから、2050年までは化石燃料とCNFの混合燃料を使うことになるだろう。年次を追うごとにCNF比率を増やし2050年に100%にすれば良い。

 例えば1980年代のクルマの燃費を思い出すと、リッター10キロ走ればまあまあ燃費の良いクルマだった。当時のガソリン価格がリッター150円だったとして、燃費が倍のリッター20キロになれば、1キロ当たり走行単価で見るとリッター300円で同等だ。ハイブリッドを使うことでコスト上昇を抑えられるのである。

スバルのカーボンニュートラル燃料の取り組み

 何よりも、気候変動問題が提起されて以降、CO2を排出することは悪だった。自動車メーカーとしては世界が決めたモラルを無視できない。BEVが売れてくれれば良いのだが、思うように売れない中で、規制が厳しくのしかかる。そういう現状を大きく変えてくれるのがCNFである。

 いままでモラルの問題として厳しい状態にあった燃費が、単なるユーザーコストの問題に回帰する。ユーザーさえ納得すれば燃費が悪いクルマでも成立するのがCNFの時代である。

 逆に言えばユーザーが「このエンジンにほれ込んだから燃費のコスト差は気にしない」ということが言えるようになったのである。

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