山田: 具体的なステップについてご紹介させていただきます。このソリューションは3ステップで考えています。
まず1つ目は、パーパスの価値軸を規定するというステップです。これは具体的には、パーパスを構成する価値の要素をいくつかの軸として整理していくというものです。通常、パーパスは社会に対しての約束ということで、いろいろな要素から構成されていることが多いですが、その要素をいくつかに分解して、価値軸として整理していきます。
山田: この検討の際に大事なのは、未来に実現すべき価値も含めて検討していくことです。パーパスは、これから実現したい価値を表現していることが多いので、現状の価値だけではなく、新たに付け加える価値も含めて、価値軸を設定するということがポイントになってきます。
次に、整理した価値の軸をAIによって分析する、AIリスニングというステップに進みます。ビッグデータとAIを活用して現状を把握するわけですが、SNSでの発話、ブログ、アンケートなど、あらゆるテキストデータをスコアリング・可視化して、パーパスの社内外への浸透度を把握します。
山田: 例えば、ステップ1で規定した価値軸が7つあるとすれば、SNSで投稿されている生活者のテキストデータをAIで分析して、その7つの価値軸の中のどれが反映されていて、どれが反映されていないのかを測ったり、どのぐらい語られていて何が発言されていないのかを分析したりします。従業員アンケートの自由回答やお客さまからの声、自社から発信しているプレスリリースなども分析の対象になります。
山田: このように、定性的なテキスト、定性的な人の発言をAIに読み込ませて、スコア化して、パーパスの世の中での語られ方を検証していく手法になっています。何が伝わっていて何が伝わっていないのかを価値軸であぶり出せると同時に、時系列で変化を見ていって、浸透の状況をモニタリングできるます。自分たちで発信していることと共有されていることの比較をして、そこのギャップを定量的に可視化でき、パーパスを作りっぱなしにせずに、有効に活用していくことができます。
3つ目は、こうした分析を踏まえて具体的なアクションを創出していくステップです。具体的には、博報堂ブランド・イノベーションデザインのコンサルタントやクリエイターが、具体的な打ち手を一緒になって考えます。さらに実際のアクションをモニタリングしてブラッシュアップしていくことも可能です。
山田: 企業、社会との双方向の持続的なコミュニケーションが可能になって、真の意味でのパーパスの実践を推進できると考えています。このソリューションを活用いただくことで、生活者や社会とのパーパス共有が進み、企業の組織風土の変革が進んでいくことが期待できます。軸にすべき価値を明確にした上でアクションを考えるので、強いメッセージはもちろん、インパクトがあるアクションを打ち出すことができると考えています。
ステップ1〜3までの3段階を進める場合、約5カ月の実施期間を想定していますが、パーパスやミッションを策定して、これからどのように動いていくかということを検討されている企業や、パーパスは既に作っているけれどもなかなか生かせていない、浸透や共有に課題感を持っている、あるいはこれからパーパスの策定を進めようとしている企業にも、事後の展開を見据えて検討していくことができます。
山田: 次に、この「パーパス・アクション・サイクル」を実際に活用して、長寿ブランドの新たな可能性を探った、Mizkan「味ぽん」のケースを、ご担当の伊山さんからお話いただきたいと思います。
味ぽん、SNS分析で「顧客の声」可視化 新たなインサイトどう見つけた?
「顧客の声」から何を学べるか 企業活動を変えるVOC活用の全て
年間18万件の「問い合わせ」を削減 ジャパネットとメーカーの切れない関係
年間4万件の「声」は、味の素「Cook Do」をどう変えたのか
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