山田: 本日のご説明は以上で終了ですが、ここで振り返りのディスカッションをさせていただきたいと思います。まずは伊山さんからお願いします。
伊山: これまでさまざまな調査やインタビューをやり尽くしてきていて、次の兆しを導き出すのが難しいという課題がありました。それが今回、「パーパス・アクション・サイクル」という新たなソリューションを活用することで、かなり解決できたのではないかと満足しています。
和泉: 今までさまざまな企業のご支援をさせていただきましたが、やはりSNSの分析をしてほしいということはよく言われていました。膨大な量の発話を目検で見て分析したり、数量化して分析できるツールを使用しても、ポジとネガの2軸でしかできないものでした。
それが今回、複数の価値軸でSNS上の発言や自由回答の発言を分析できるようになり、なおかつ気になるところがあれば元の発言に立ち戻ってインタビューまでできるソリューションが開発されたことで、膨大な量の質的データにおける生活者のインサイトを今まで以上に深掘りしやすくなったと感じています。
伊山: 皆さんもChatGPTなどを使われたりするとは思うのですが、やはり半信半疑な部分はあると思います。それが、今回の分析のように、SNSの発話をAI分析にかけて、価値軸を整理したり、発話の塊を発見できたことで、AIに対する認識が変わりました。
それと、その分析結果を皆さんと一緒に目線合わせしながら議論し、価値軸を設定したことによって、新しい気付きが得られたのも大きな成果だったと思います。今後もAIの力を借りながら、それを人の目や手でどう料理していくかを考えていくことは、今後のビジネスにおいて非常に大事になってくるのかなと感じています。
和泉: 味ぽんのようなロングセラーブランドは世の中にたくさんあると思うのですが、このようなブランドは企業も気が付いていないような価値が生活者側に生まれている可能性があります。
そういった潜在的な価値は、通常の定量調査だけで掘り起こすのはとても難しいと思います。それが今回のソリューションのように、大量の質的データを分析することで新たな価値軸を発見できたというのは大きな魅力だと思います。今後は他の企業、例えばクルマブランドなどの価値の掘り起こしに活用いただけるのではないでしょうか。
山田: 伊山さんも言及していましたが改めて、ブランディングにおいて、ListenとActionという2つの循環がとても大事になってくると思います。
山田: 今回ご紹介させていただいた「パーパス・アクション・サイクル」というソリューションは、もちろん全ての企業の課題が解決できるわけではありませんが、ブランドや企業が世の中に価値を見いだしていく際に、社内や生活者の声を聞いて、それを行動に反映させることは重要ですし、考え続けなければいけないテーマだと思います。
伊山: 実際、お客さまの声を聞き続けることはできても、それをどう生かしたらいいか分からないというのが実情だったので、現在のブランド価値と新たな価値を探る上で、今回の取り組みはとても有意義でした。
山田: まだスタートしたばかりの「パーパス・アクション・サイクル」ですが、今後もビジネス環境やテクノロジーの進化に合わせてアップデートしていく予定です。この機会にぜひ、多くの企業・ブランドにご活用いただければと思います。ご視聴いただいた皆さん、本日はありがとうございました。
左から和泉舞さん(博報堂ブランド・イノベーションデザイン)、伊山裕人さん(株式会社Mizkan マーケティング本部)、山田聰さん(博報堂ブランド・イノベーションデザイン)(出所:ウェビナーレポート AIで見える化!パーパス共有の実態〜「味ぽん」が挑んだ、SNS“声”分析〜 (後編)
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