店舗運営を担当している、JR東日本クロスステーション リテールカンパニーの吉儀大史さんはペンスタの特徴をどのように見ているのか。取材をしている中で、吉儀さんは「縦売り型」という言葉を何度も口にした。
売り上げを効率的に伸ばすために、マーケティングの世界では「一部の商品をどんどん売っていく」という戦略がある。他の商品よりもたくさん売れて、グラフの形状が縦に伸びていることから「縦売り」と呼ばれているが、ペンスタは典型的な「縦売り型」の店舗だという。人気のある商品はつくってもつくっても、生産が追い付かず、「完売」の文字が並んでいることが多い。
それにしても、ペンスタはなぜこれほど人気なのか。個人的に、その理由は2つあると思っている。1つは、商品の95%がオリジナル商品であることだ。
東京店では100種類ほどの商品を扱っていたが、上野店と新宿店では600種類ほど。ほとんどの商品が「ここでしか買えないモノ」なので、ファンにとっては希少性を感じ、店内でグッズを見ると「あれも、これも」といった具合に、衝動買いする人が珍しくないようだ。それは数字にも現れていて、売り上げは当初の想定と比べて3倍ほど、単価は2倍ほど上回っているという。
もう1つは、キャラが設定されていないこと。冒頭で紹介したように、Suicaのペンギンには名前がない。南極から来て、好きな食べ物は魚肉ソーセージ。「情報が少ない=キャラ設定をしない」理由として、JR東日本は「ICカードの分身的な存在だから……」と説明している。この話を聞いたとき筆者は「モンチッチ」のことを思い出したのである。
ご存じのとおり、モンチッチとはサルに似た人形である。実はサルではない……という話をすると長くなってしまうので、ここでは割愛するが、モンチッチが誕生したのは1974年のこと。現在は世界30カ国以上で扱っていて、これまでに7000万体も売れている。
モンチッチも実はキャラ設定がないので、楽しみ方は人によって違う。「モンチッチ」と呼ばずに、別の名前で呼んでいる人も。このなんでもありの設定が魅力のひとつのようだが、となるとSuicaのペンギンも自由度の高さが愛される理由のひとつではないかと考えている。
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