CX(顧客体験)向上に力を入れる日本企業が増えている。
IT専門調査会社のIDC Japan(東京都千代田区)が6月に発表した調査によると、2023年の国内顧客エクスペリエンス(以下、CX)関連ソフトウェア市場は、市場規模(売上額ベース)で前年比9.5%増の7079億9800万円に成長した。2028年には1兆386億9500万円に達すると、IDCは予測している。
目まぐるしい成長を遂げるCX関連市場に、期待を寄せている人も多いだろう。しかし、世界各国と比較して、日本企業のCXに対する優先度はまだまだ低いのが現状だ。IDCの調査によると、CX施策に関する投資の優先順位は世界各国が「2位」だったのに対し、日本国内は「10位」と大きなギャップが見られた。
今後さらに市場を伸ばし、顧客体験の最適化によって売り上げを上げていくためには、押さえるべきポイントがある。
<調査における定義>
CX関連ソフトウェアの主要市場であるCRM(顧客関係管理)アプリケーション市場は、前年比13.4%増、市場規模2497億8600万円となった。
CX変革サービス市場も、前年比9.5%増、市場規模4890億円に達した。CRMアプリケーションや顧客データプラットフォームの構築と、データの移行・統合などに関するプロジェクトサービスを中心に高い成長で推移した。
「コロナ禍を契機に、デジタル上の顧客接点を強化する動きが急速に加速し、商品力や価格優位性だけでは勝ち残れない時代に突入しました。購買を決定する妥当性を高めるためには、CX向上が必要だと認識されるようになり、市場が成長したのだと分析しています」(IDC Japan Software & Services シニアリサーチアナリストの太田早紀さん)
IDCは「CX施策への関心は、各カスタマージャーニー地点のデジタル化から各顧客接点を横断した体験提供、業務プロセスの効率化、さらには収益レジリエンシーの強化に向けたビジネスモデルの変革に移行している」と指摘。
実際、2020〜2022年にはコンタクトセンターやカスタマーサクセス部門などで、問い合わせ対応のデジタル化が進んだ。2023年以降は、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)などを活用し、顧客データを管理・統合する動きが活発化したという。
今後は生成AI活用の波を受け、市場はさらに好調に推移すると見ている。だが、前述した通り世界各国と比較すると、日本でのCX施策に関する投資の優先順位がまだまだ低いのが現状だ。なぜ日本では、諸外国と比較してCXの重要度が高まっていかないのだろう。
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