前回はChatGPTに対して、KGI、KPIのアイデアを出してもらいました。これらのアイデアを参考に、実際に何に取り組むのか(WHAT)を生成AIといっしょに考えてみましょう。
ChatGPTなどチャット形式の生成AIのメリットの一つは、対話を通じて考えの整理ができることです。例えば、ChatGPTから示されたKGI、KPIが次のようなものだったとしましょう。
職員のためのビジョン
(中略)
3.デジタルスキルの向上と育成
KGI
KPI
KPIは取り組み指標なので、どのような活動を行うのかを決めていく必要があります。きちんとプロンプトを設計して、まとめて問い合わせてもよいのですが、今回はチャットでの対話で進めてみましょう。
職員のためのビジョンの3番目「デジタルスキルの向上と育成」の「デジタルスキル研修の受講率」について、もう少し考えを整理させてください。
いったん、このKPIを採用するとして、これを測定するためには、どのような活動が必要だと考えられますか?
次の活動が考えられます。
研修プログラムの設計・提供
全職員がデジタルスキルを習得できる研修プログラムを開発し、提供します。内容は職務レベルや分野に応じて異なるものを用意します。(後略)
「内容は職務レベルや分野に応じて異なるものを用意します。」とありますが、現実的にはそれだけの人的、金銭的な余裕はありません。着手しやすい方法についてアイデアはありますか?
限られた人的・金銭的資源の中で実現可能な方法を考慮すると、以下のアプローチが着手しやすいものとして有効です。
1.統一された基礎デジタルスキル研修の導入
職務レベルや分野によって研修を分けるのではなく、全職員向けに共通の基礎的なデジタルスキル研修を設けることで、コストと労力を削減できます。この研修では、以下の基本的なスキルを習得させることが目標です。
2.オンライン学習プラットフォームの活用
人的リソースを節約するために、外部のオンライン学習プラットフォーム(UdemyやCourseraなど)を活用することが有効です。これらのプラットフォームでは、多様なデジタルスキルに関するコースが用意されており、比較的安価で職員が自分のペースで学習できます。
既存の教材を利用することで、研修内容を一から構築する必要がなくなり、時間とコストを削減できます。
3.「庁内トレーナー」制度の導入
一部の職員に対して重点的にデジタルスキルの研修を行い、「庁内トレーナー」として他の職員に指導を行ってもらう方法もあります。これにより、全職員に対して一斉に研修を行う必要がなく、職員リソースを効果的に活用できます。
トレーナーとなる職員は外部研修やオンラインプラットフォームを利用してスキルを習得し、それを自部署で伝達する役割を担います。
4.モジュール型の段階的研修
研修をすべて一度に実施するのではなく、モジュール型で少しずつ段階的に研修を行うことも検討できます。1回あたりの研修は短時間で完了し、少しずつ学ぶことで職員の負担も軽減されます。
初回は基本的なIT操作、次回はAI・RPAの活用、さらに次はセキュリティ対策など、段階的に進めます。
モジュール型の段階的研修ですが、短時間の研修のたびに準備をしたり、研修内容を検討するのはかえって煩雑になってしまいます。
(以下続く)
筆者が自治体の現場にいると、新しい取り組みに対して後ろ向きな職員から「できない理由」を延々と並べられてガッカリすることもあるのですが、ChatGPTなら同じように「できない理由」を投げ続けても、辛抱強く回答してくれます。
見方を変えると「できない理由」にも一理あるかもしれず、それが個人の考えなのか、客観的な制約なのかを丁寧に整理していくことで、案外よい解決方法が見えてくるかもしれません。
次回は「自治体のオープンデータへの取り組みと生成AIの関係」について考えていきましょう。
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