「衰退の時代」をどう生き抜く? AIやロボット活用を避けて通れない、これだけの根拠(2/4 ページ)

» 2024年10月31日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

消費の中心、ファミリー層をどう取り込むか

 消費で大きな比重を占めるのが、ファミリー層です。そして、未来のファミリー層とは今0〜14歳の人たちです。2024年現在、0〜14歳の人口は約1400万人です。彼らは20年後には20〜34歳となり、就職や結婚、出産とライフステージを上げていく世代になります。また、2054年には30〜44歳となりファミリー層の中心的存在になります。

 この世代は幼稚園や小学校から1人1台パソコンが貸与され、生活でAIを活用するのは当たり前。IT教育も十分に受ける世代です。人口減少や社会保障の不安定さなどは、生まれたときから明らかであり、その中で生き抜くために、現在では想像もできないほどの能力や消費、働き方の多様性を保持した世代になることでしょう。

 この世代は「α世代」とも呼ばれていますが、従来のようにひとくくりで世代の傾向を述べることは不可能な層だと考えられます。個別対応が求められるターゲットの支持をどのように獲得していくか、30年後を見据えた動きに早期から着手できる企業とできない企業で、未来の勝敗は大きく分かれるといえるでしょう。

 特に、トレンドや消費傾向をキャッチして収益にしていくビジネスは今後さらに難易度が高まっていくと予想できます。反対に、上述したような多様性に左右されない、エネルギーやメディカル、サイバーセキュリティなどインフラや命に関わるビジネスが安定軌道を描くことも想像できるでしょう。

所得は低いのに、モノやサービスは高くなる

 エリアのデータを見てみましょう。次のグラフは、都道府県別の賃金差異です。トップの東京都と最下位の青森県では約120万円、月間にすると10万円もの差があることが分かります。

エリア別の賃金差異 東京と青森で、100万円以上の開きがある

 こうしたエリアごとの所得格差がある中で、今後は「物価やエネルギー供給体制が同一で良いか」が大きなテーマになるでしょう。企業としては、人口が少なくなるところにサービスを提供することは、効率性の鈍化を意味します。都市部を離れたエリアでは値上げする動きも増えるはずです。しかし、先ほど示したように、そうしたエリアの方が所得は低い傾向にあります。

 つまり、買い手側からすると所得が都市部より低いのに物価は高い状態になります。すると、余計に消費が冷え込んで企業が撤退し、流通網が途絶えるという、誰も得をしない事態を招くこともあり得ます。

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