「安くて当然」を覆す! 「豆腐バー」「うにのようなとうふ」なぜヒット? “豆腐革命”の正体に迫る長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)

» 2024年11月30日 06時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

ガンダム好きの3代目社長の趣味でつくった商品

 相模屋食料の「BEYOND TOFUシリーズ」は、おいしさと植物性由来食品のヘルシーさの両立を追求。「植物性タンパク質の食品=ヘルシーだけどおいしくない」という、従来のイメージの払拭を目指している。

 不二製油の特許技術を用いてつくられた、油分が多いプレミアム豆乳の「豆乳クリーム」や、油分が少ない「低脂肪豆乳」を、原料に使用。

 現状、「マスカルポーネのようなナチュラルとうふ」「BEYOND TOFU ピザ・シュレッド」「うにのようなビヨンドとうふ」「白子のようなビヨンドとうふ」を、主にスーパーで販売している。

うにのようなビヨンドとうふ

 一番人気の、うにのようなビヨンドとうふは、まるでうにのような味わいや食感を実現した豆腐。そのままわさび醤油をかけたり、ご飯に乗せて贅沢なうにご飯のようにしたりして食べる。かき混ぜるとソース状になるので、パスタなどにアレンジする人が多く、SNSにアレンジレシピが数多く投稿されている。2022年3月に発売し、2024年7月には累計出荷数1000万パックを超えている。

白子のようなビヨンドとうふ

 白子のようなビヨンドとうふは、高級で希少な冬の味覚であるふぐの白子を豆腐で再現しようとした商品。白子のようなとろける口どけと、濃厚な魚介のうまみがたっぷりあるのが特徴。昆布ぽん酢ともみじおろしで食べる。2024年8月発売で、当初見込みの3倍売れている。

マスカルポーネのようなナチュラルとうふ(提供:相模屋食料、以下同)

 マスカルポーネのようなナチュラルとうふは、クリーミィな食感と濃厚でコクのある味わいの豆腐。スプーンですくって食べるスタイルで、オリーブオイルや蜂蜜を掛けて食べるという、従来の絹や木綿とは異なる食べ方を提案する。

豆乳でつくった植物性100% ピザ・シュレッド

 BEYOND TOFU ピザ・シュレッドは、ピザ用チーズのようにシュレッド状になった商品で、ピザ、グラタン、パスタなどのトッピングとして人気。チーズのような味わいと食感、加熱するとトロリと溶ける性質を持つ。他にブロック状になった「BEYOND TOFU ブロックタイプ」、オリーブオイル漬けでお酒のおつまみになる「BEYOND TOFU オリーブオイル漬け」もある。

 BEYOND TOFUシリーズが生まれてきた背景として、2012年3月に期間限定で発売した「ザクとうふ」のヒットがある。アニメ『機動戦士ガンダム』に出てくるモビルスーツ「ザク」の頭部をかたどった、パッケージが特徴的。累計出荷数は500万機(ガンダムへのリスペクトから機と数える)に上った。ガンダムシリーズは他に「百式とうふ」など。

多彩な相模屋食料の商品群(出所:相模屋食料公式Webサイト)

 同社広報によれば、「ガンダム好きの3代目・鳥越淳司社長の趣味でつくった商品で、ガンダムのコアファン層である、30〜40代の男性が豆腐売場に押し寄せる現象を起こした」とのこと。ザクとうふの登場以前には、豆腐にはターゲットを絞った付加価値の高い商品という概念がなかったという。同社のユニークな商品群は、鳥越社長のアイデアによって生み出されている。

 2014年8月に発売したマスカルポーネのようなナチュラルとうふのターゲットは、20〜30代女性。ダイエットや健康のために食べるという、潜在的なニーズがあると考えた。この商品も人気となった。

 相模屋食料は創業73年の老舗豆腐メーカーで、売上高は410億円(2023年度)。過去10年で5倍と鰻登りだ。これは、革新的な商品づくりだけでなく、継続困難な全国の豆腐メーカー12社を次々にグループ化して、再建に取り組んでいるからでもある。

うにのようなビヨンドとうふ、パッケージを開けてみた

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