複線の上下線に列車を並べ、乗降ドアの位置を合わせ、渡り板を設置して救援する。
上下線のどちらか、あるいは列車側の故障により車両が停電した場合、空調など車内サービス設備のほとんどが使用不可能になる。駅から離れた中間地点では避難行動も難しく、車外に出ることも危険だ。酷暑になれば客室の温度が上昇し、乗客の体調悪化も懸念される。そこで、停電停車した列車の隣に救援用列車を並べて、乗客を脱出させる。
訓練では記者たちも渡り板を行き来して脱出を体験した。渡り板は薄型の折りたたみ式ながら、大きくたわむことなく安心して渡れた。駅で車椅子利用者が使う渡り板に似ていて、今回の訓練でも車椅子利用者の訓練が行われた。
訓練の待機から開始までに少し時間があった。救援側の列車にとっては、駅のような停止位置目標がないため、両列車のドア位置を合わせる作業に時間がかかったようだ。この作業のスピードアップが課題だと思う。また今回の体験者は、少人数で「もの分かりの良い人々」ばかりだった。実際に避難する事態になって、疲弊した乗客たちがドアに詰めかけたときの乗客整理も検討課題だと思われた。
新幹線を水没から救え――1967年7月豪雨「伝説の戦い」が伝える教訓
ドクターイエローはなぜ生まれ、消えていくのか
年末年始、なぜ「のぞみ」を全席指定にするのか 増収より大切な意味
次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング