巨大地震発生時、レールに並行して敷設した脱線防止ガードを目視で点検する。
東海道新幹線は線路の内側に脱線防止ガードを設置している。脱線防止ガードはレールと並行して設置する鋼材のことで、ヨコ方向に大きな揺れがあった場合に、車輪がレールから逸脱するのを防ぐ。さらに、台車側に下方へ伸ばした「逸脱防止ストッパ」を設置し、これを脱線防止ガードが受け止めて車両の逸脱を防ぐ。
脱線防止ガードは2019年度までに、東海大地震が想定される区間の本線や、高速で通過するトンネルの手前、「三主桁(さんしゅけた)」の手前など、合計596キロメートルに設置が完了した。現在は東海道新幹線の8割の線路に設置済みだ。2028年度までに全区間の本線に設置を拡大し、各駅の副本線(通過列車を待避する側の線路)と回送線なども完了する予定だ。
脱線防止ガードをトンネル手前に優先設置する理由は、列車がトンネルで脱線すると、トンネルの壁に車両が接触して大事故になるからだ。「三主桁」は複線線路が走る鉄橋のうち線路上に主桁が3つあるタイプで、これも脱線時には大きな障害になる。
訓練作業は、作業員が電動カートに乗って現場に駆けつけ、指令所と連絡を取りながら脱線防止ガードやレール、車輪を目視で点検していく。一つ一つ指さし確認し、少し移動してまた点検の繰り返し。訓練は列車の片側のみ行ったけれども、実際は全長400メートルの列車の両側を点検していく。とても時間のかかる作業だ。万が一、事故でこの作業に出会ってしまったとしても、慌てずに落ち着いて点検終了を待ちたいと思った。
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