「おひとりさまツアー」は割高なのに、なぜ利用者が増えているのか “自己紹介なし”の理由(3/5 ページ)

» 2025年01月30日 06時00分 公開
[小林香織ITmedia]

参加者は女性が大半。割高だがプレミアム感が好評

 両社ともに、ひとり旅ツアーの商品には満足度を高める工夫が散りばめられている。ホテルは1名1室、バスの座席は1名で2席分確保するのが基本だ。添乗員や地元のガイドが同行して観光地を案内するツアーがほとんどだという。

 「観光地で各自がしたいことが十分にできる自由時間を確保しつつ、伝統工芸の体験などツアーでしかできない経験を盛り込みます。通常のツアー商品と比較してやや割高なこともあり、食事もややグレードが高いものを準備して、コースによっては1名1卓で提供しています」(クラブツーリズム 小林氏)

食事中に相席になる場合は、参加者同士の交流が自然と生まれることもあるそうだ

 こうした工夫は阪急交通社も大きくは変わらないが、同社では特にプライバシーを重視。ひとりを満喫できるよう販売当初から自己紹介タイムなどを設けておらず、利用者からは好評を得ているという。クラブツーリズムの国内ひとり旅ツアーでは、10年ほど前に自己紹介タイムを廃止している。

パワースポットや離島めぐり、フェリーの旅などが人気(クラブツーリズム提供)

 人気の行き先を尋ねると、国内では離島、リゾートホテル、秘境やパワースポットめぐり、富士登山、動物園や水族館、四国の八十八ヶ所をめぐるお遍路、フェリーによる日本一周、ロケットの打ち上げ見学など個人では行きづらい場所に加え、東北の夏祭りや桜・紅葉の名所など季節限定のツアーとのこと。

 「年齢層は60〜70代がボリュームゾーンです。男女比は約8.5:1.5で女性が圧倒的に多いです。ただ、行き先によって男女比が逆転することはあり、鉄道関係やお祭り・花火などのイベント系は男性が増えます」(クラブツーリズム 小林氏)

エストニア・ラトビア・リトアニアからなるバルト三国は、近年ひとり旅ツアーで注目されているスポットだ(出典:阪急交通社のプレスリリース)

 阪急交通社が販売する海外のひとり旅ツアーでは、トルコやエジプトといったマイナーなエリア、ポーランド、バルト三国などがよく売れている。「1人ではハードルが高いエリアが人気で、通常のツアーよりもひとり旅ツアーのほうが圧倒的に参加者が多い状況」とのこと。

 同社でも、参加者は国内外ともに70代がボリュームゾーンで男女比は約3:7で女性が多くなる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR