シニアだけでなく、50代以下の層にも浸透し始めているひとり旅ツアーだが、企画や販売の難しさもあるという。
「特に海外では、宿泊施設が団体客向けから個人客向けにシフトする傾向が強まっており、お部屋の確保が非常に厳しい状態です。団体ツアーはキャンセルのリスクが個人客より高いためです。しかも、2名以上で参加する団体ツアーなら参加者数に対して半分の部屋数で済みますが、ひとり旅ツアーだと全員分の部屋を確保しなければならず、余計にハードルが高くなります」(阪急交通社 後藤氏)
近年は、全てがシングル部屋で設計されているビジネスホテルが海外にもつくられていることから、そうしたところを利用することが多いという。クラブツーリズムの小林氏も、同様の課題感があると話す。
「1名1室での販売に抵抗感を持つ宿泊施設が多いため、新しく誕生した魅力的なところを提供したいと思っても、ツアーが組みづらい状況があります。また、どうしても2名以上で参加するツアーより割高になるため、差別化をどう図るかも頭を悩ませる点です」(クラブツーリズム 小林氏)
同社のひとり旅ツアーは、2名で参加するときと比較して約1.2〜1.4倍の金額になるため、満足度を向上させるには特別感の提供が求められるようだ。
単身世帯の増加などにより、両社ともひとり旅ツアーの需要は高まっていくと予測、引き続き関連商品を精力的に販売する方針だ。クラブツーリズムの新村氏は、「男性限定のひとり旅ツアーにもチャレンジしたい」と意欲を示す。
阪急交通社の後藤氏は、「国内は美術館やガーデンめぐりといったテーマ性のある旅、プレミアムな座席を確保した祭り鑑賞など付加価値のある旅を、海外は未展開のアジアの商品ラインアップを増やしたい」と展望を話した。
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