だが、騒音規制は厳しくなっていく一方で、欧州では純正マフラーと同じ音量しか認められないようになると、ドイツのチューニングメーカーやマフラーメーカーはその対応策を考え出すようになる。
音量は抑えつつ、純正マフラーよりも力強い低音を強調するなど、排気音の質にこだわるようになり、排気抵抗を抑えることでエンジンの能力をより引き出すだけでなく、マフラーの仕様にもさまざまな工夫、努力が注がれていくことになる。
旧車で長く生産されたローバーミニのマフラーはさまざまなブランドから販売されており、オーナーが好みで選べる環境が整う。写真は音質にこだわり、さまざまな車種で快音を響かせると評価の高い日本のマフラーメーカー、サクラムのマフラーこのころからクルマのサウンドビジネスが広がり始める。クルマのチューニング文化が根付いていたドイツでは、マフラーサウンドを楽しめなくなると、その代替手段としてマフラー出口付近にスピーカーを装着し、加速時には排気音を増幅する仕組みを作り上げた。
それくらい当時はマフラーから放たれるサウンドが、ドライビングの気分を高めるスパイスとして重要視されていたのだ。
また音響機器メーカーのBOSEは、カーオーディオシステムとしての音響システムとは別に、車内の走行音の演出にも開発分野を広げていく。車内の騒音に対して逆位相(2つの振動、または波動の位相が反対であること)の音を作り出して打ち消すノイズキャンセリング技術で静粛性を高めたり、それを応用してエンジン音や排気音をスピーカーから放つ音で補完したりしている。
マツダは、MAZDA3の先代モデルであるアクセラからディーゼルエンジンにBOSEのサウンドチューニングを導入していた。現行のMAZDA3ではピストンピン内部にディーゼルエンジンのノイズを低減させるナチュラルサウンドスムーサーという部品を追加するなど、ディーゼル車であっても気持ちのいい加速感を演出する音作りに余念がない。
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