メルカリの営業利益が急伸した最大の要因は、広告宣伝費やマーケティングコストの最適化が奏功したことだろう。特筆すべきは、その最適化が、単なるコストカットだけでなく、成長戦略も織り込んだ施作となっていたことだ。
同社は新規ユーザー獲得のためのプロモーションを抑制していたが、AIを活用したレコメンド機能の強化により、既存ユーザーの取引頻度を高めることに成功した。既存顧客のライフタイムバリュー(LTV、顧客生涯価値)を底上げする形で利益率向上につなげたことも、決算が市場に高く評価された要因の一つだろう。
もう一つの成功要因は、フィンテック事業における成長である。決算によれば、メルペイの債権残高は前年同期比38%増の2133億円に達し、コア営業利益は12億円の黒字となった。足元では幅広い品目で物価高が懸念されているが、その受け皿としてメルペイの後払いサービスが選択された可能性がある。
メルペイの債権は99.3%が回収されており、優良な顧客層を維持しているのも興味深い。これにより、従来のマーケットプレイス事業に依存していた収益構造が多様化し、安定した利益成長が可能になった。
米国事業の損失縮小も業績改善の一因となっている。メルカリUSの流通取引総額は前年同期比27%減の1億7500万ドルと大幅減となったが、手数料体系の見直しとコスト削減策により、セグメント損失は前年同期の21億円から14億円に縮小した。さらに、12月には単月黒字を達成しており、今後の業績回復が期待される。
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