山手線が39年ぶりに運賃アップ、JR東日本が発足以来「初値上げ」の意味杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/5 ページ)

» 2025年02月17日 10時35分 公開
[杉山淳一ITmedia]

物価と連動できなかった鉄道運賃

 モノやサービスの値段を上げる理由として、まず「諸物価の高騰」が挙げられる。原材料費が上がり、燃料価格が上がり、人件費も上がる。「価格改定メールの書き方」などを参考にすると、「弊社でもさまざまな対策を講じて価格維持に努めましたが、現行の価格体系を維持できなくなりました」という発表になる。

 例えばカップヌードルは、1971年の発売時は100円だった。JR東日本が発足した1987年頃の希望小売価格は140円で、現在は同236円(税抜)だ。ただし140円から236円へ、いきなり100円近く値上げしたわけではない。この間に5回の値上げをした結果だ。これは消費者物価指数の推移ともほぼ一致する。10円、20円と小刻みに値上げしてきたから、買う側にとってショックは小さい。子どもの頃は100円だったのに、いつのまにか236円になったという感想になる。

モノやサービスの値段は少しずつ上がっている(出典:消費者庁、生活関連物資の価格動向

 世の中のほとんどのモノやサービスは、小刻みに値上げしてきた。それに比べればJR東日本の「39年間据え置き」のほうが異常だ。その理由は鉄道運賃が国の監督下にあるからだ。値上げしたければ国の認可が必要で、国が納得する材料を示さなくてはいけない。

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